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学会 アーカイブ

2007年06月12日

情報社会学会2007年度 研究発表大会

情報社会学会の研究発表大会に参加した。今回は、事務局、運営委員に加えて研究発表をすることができた。
参加者は50名ほど。シングルセッションで進行したので、時間はぎりぎりになってしまった。

受付や裏方と行ったり来たりだったのだが、大田さん(早稲田)のInternet Constitutionについての発表、ゲスト鈴木寛参議院議員のセカンドライフについての発表が面白かった。両者とも、私が考えている匿名性とidentityの使い分け、かつ責任の所在を担保するという問題に関連すると考えられた。

リアルとバーチャルという視座が改めて出てきたのも、興味深い。テキストだけのコミュニケーションでは表現できなかった、「相手の方向を向いて話す」というノンバーバルな部分が、技術的に実現可能になったことで、インターネットが「視覚的匿名性を持つ」、すなわち顔が見えないコミュニケーションであるという前提が崩れる可能性があるのだ。すると、ネットの持つ匿名性は、社会的コンテクストの切り替えという意味になるのではないだろうか?

さて、私の発表は最終セッションにて、以下の通り。

折田明子・三木草・小川美香子
「発信しづらい情報交換における匿名性の効果~ダイエット食品クチコミ調査から」

先行研究のまとめ、リンク可能性&履歴追跡可能性から組んだ匿名性レベル、そしてデータによる分析。他のトピックでの情報交換では同様の結果になるのかどうか。このモデルを今後発展させて考える必要がありそうだ。

懇親会では居酒屋にて、セッションで話し足りなかった分盛り上がった。

今年から学会ではSNSを導入予定。こうしたface to faceの機会を継続させていくためにも活用したい。

2007年08月02日

佐賀大学理工学部で学科講演会

佐賀大学理工学部の集中講義「情報と職業」の中で、講演をさせていただいた。

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内容は、博士研究で取り組んでいる、ネットを介した情報交換と匿名性について。今回は博士論文にはまとめなかった事例も含め、できるだけ具体的に説明することを心がけて準備した。

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受講生は26名。なんと全員男子学生だった。この他、学科の先生方も駆けつけて下さり、実は内心とても緊張してしまった。さらに緊張したのは、学生のみなさんが、ノートを取っていたことだ。身が引き締まる思いがする。

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ネットで見ず知らずの人同士が助け合っていることは、不思議だと思っていた。しかし、見知らぬ人に道を聞かれて答える、といった行為は、多くの人が経験している。こうした助けあいが、ネット上で発生していること、それによっていろいろな問題が解決していることを、事例を紹介しながら説明した。さらに、ネットは匿名だというけれど、それは設計する視点から見れば、(1)本人への到達性と(2)発言のリンク可能性という軸に分けられることと、それらの組み合わせで場の匿名性をカスタマイズできることをお話した。

今後、システム設計で活躍される皆さんのお役に立てれば幸いと思う。

終了後には、先生方からもコメントをいただくことができ、特に「匿名性に対して性善説に立っていますね」というコメントは、今後の宿題を示唆されたと思う。

講義の直後、台風5号の影響でその後の授業は休講に。ぎりぎりのタイミングで、貴重な機会をいただいた。今回、さまざまな配慮をいただいた佐賀大学理工学部の先生方、國領研先輩の飯盛先生に感謝したい。

2007年09月21日

情報処理学会DPS/GN/EIP合同研究会@山口

情報処理学会第37回電子化知的財産・社会基盤研究会(EIP)の合同研究会にて発表。今回は、DPSおよびGNと合同で2日間に渡って開催となった。

山口宇部空港から、一旦新山口まで高速バス。さらに路線バスで1時間。山口市菜香亭が会場だ。明治10年に料亭として始まり、今は移設されて市の施設になっている。この2階はきれいにリフォームされ、プロジェクタを映して学会発表となった。
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初日の終わりに、菜香亭の簡単なツアーがあった。代々政治家が訪れるたびに、一筆書いていただいたものが飾られている。木戸孝光や岸信介の達筆に鳥肌が立つ。
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私の発表は翌日の最後のセッションだった。

折田明子、江木啓訓 「リンク不能性および一覧性の観点による匿名性の分類」

匿名性を説明する要素として、Pfitzmannらの言うUnlinkabilityを整理した上で、それを一覧できるかどうかで匿名性の強弱が変わるのではないかという概念整理をした。事例には2ちゃんねるやクチコミサイトの例をだいぶ取り入れてしまった。質疑では、匿名性とIDの関連を問われた。IDとの関連はちょうど博論でも書いている。質問してくださった重野先生は、さまざまな場面で作成したIDは一見匿名に見えても、たくさんもつことで状況は変わるのでは、と指摘された。この問題意識は私も同じく持っているものだ。

セッションが終わると研究会も終了。上山口駅まで歩き、単線のJR山口線で新山口へ。お土産を買いつつ、満席のJALで帰京した。

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2007年09月25日

第3回PFラボ:ヘルスケアとCGM

プラットフォームデザインラボの第3回研究会を開催した。今回は、ラボの秋山さんと私が担当で、「ヘルスケアとCGM」というテーマを設定した。センシティブな経験や情報を交換し、助け合うために、インターネットはどのように活用できるのだろうか。信用ができないと病歴は公開できないのだろうか?それとも、お互いを知らないからこそ、話せることがあるのだろうか?

まずはCGMについて枠組みの共有をするために、簡単に発表。(実は例として挙げたサイトの方々もいらしていて、緊張してしまった)

前半のスピーカーは、株式会社メディエイドの杉山博幸さん。いいなステーションの活動も合わせて発表された。医療に関する情報へのニーズは、患者やそれぞれのステージによって全く異なる。「知りたい」ニーズと「出会いたい」ニーズと「役立ちたい」ニーズが、治療前・中・予後によって変化していくという。(これは、テーマは違うけれどフォートラベルと旅行のコンセプトと非常によく似ていると思った)。

「患者会」というものが持っている問題点、一方で組織されていない個人サイトが情報を蓄積できないという弱点を克服するにはどうすればいいのか。杉山さんは新しい患者webサービスのコンセプトを紹介した。いわゆる「エキスパート患者」や「先輩患者」と、「一般患者」との支えあいだ。医療情報は病院などでプロから入手できるが、ピアサポートとしての心理的なサポート、生活に関する経験情報を得るには、経験者同士の情報交換こそ役に立つということだ。

後半のスピーカーはYahoo!知恵袋の服部英一さん。全く見知らぬ人同士が助け合う様子を、データだけでなくその場のデモで見せてくださった。講演の前半で投稿した質問に、終盤には3つも回答がついている。
見知らぬ人だからこそ、聞けることもあるという。発言履歴を残すことで、参加者の発言の責任を持たせると同時に、今後はコンテクストをどう切り分けていくかも課題だと言う。

センシティブな問題である一方で、経験に基づいた情報が求められるというパラドックス。一口に「匿名」と呼んできたものをどう設計するかが鍵になりそうだ。

2007年11月19日

経営情報学会にて発表

経営情報学会秋季全国研究発表大会が浜松の静岡大学で開催された。私は初日(17日)の朝のセッション「マーケティング」にて「CGMにおける匿名性レベル:リンク可能性および一覧性」という内容で発表した。

今回の発表は、EIP研究会での発表を発展させて、CGMの設計に焦点を当てて匿名性の分類をした。例えば、フォートラベルなら全ての投稿は「リンク可能(同一人物によるものとわかる)」であり、かつそれらが「一覧」できるし、2ちゃんねるではIDがつかなければ「リンク不能(同一人物か分からない)」で、かつ一覧できないというように。さらに、それらが場の設計によって変化させられることを説明した。

質問では、ユーザが「このサービスは投稿が一覧されないから安心♪」と思って行動していたら、サービス側が突然の変更をして一覧性が出てきた場合、ユーザはその不都合を訴えることができるのだろうか?という意見をいただいた。そういえば、博士の最終審査の中でも、「ユーザが匿名性レベルを意識して使えるためのポリシーを提示するようになっていくかもね」とコメントをいただいたのだが、これらのコメントは研究成果を世の中に役立てていくためには必要な視点だと痛感した。

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昨年KBSでご一緒した江尻さんと、お昼はうなぎ茶漬けをいただいた。浜松のうなぎは東京のうなぎと開く向きが違うそうで、東京のうなぎは骨がひっかかることがあるけれど、浜松のうなぎではそれがないそうだ。

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2007年12月13日

ICIS2007に参加:Workshop編

カナダ・モントリオールで開催されたICIS2007に参加した。この会議は毎年12月に開催される、AIS(Association for Information Systems)の年次大会で、世界各国から参加者が集まる。本会議のほか、SIGのミーティングや、併設Workshopも多数開催されるため、大賑わいだ。

私は今回は併設されたIFIP8.2 OASIS Workshopにて発表し、その後の本会議にも参加してきた。Workshopは本会議のメインプログラムの2日前から、様々なものが開催されている。OASISは1日前の12月9日(日)に開催。2つの会場でパラレルセッションの形式だった。本会場から2ブロック、零下10度の中を出かけていったが、なんとスーツ1枚でさくさく歩いていく人が!発表者だった彼は、シンガポールからの参加者だった。

発表タイトルは"Accountable or Casual Anonymity? :Classify anonymity based on linkability" 。発表中、anonymityとかanonymousという単語は何度か舌を噛みそうになった。博士論文で取り上げた匿名性の要素をマトリックスにして説明。設計によって匿名性の強弱を必要に応じて変えられるということは伝わった。

ICIS2007に参加:本会議編

カナダ・モントリオールで開催されたICIS2007の本会議について。会議は3日間に渡って開催される。今回の参加者は1300人を超えたという。アジア人では、中国と韓国のほか、シンガポールからの参加者が目立った。Workshopでも、本セッションでも、シンガポール国立大学の発表者が群を抜いて多い。日本からの日本人の参加者には誰も会うことができなかった。そもそも、日本人は私のほかには2名しか見つけることができなかった。相当の少数派だ。

【朝食】
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参加者にはコンチネンタルブレックファストが、朝7時から8時半の間に提供される。クロワッサン、パウンドケーキ、モントリオールベーグルなど多彩で大変美味しい朝食が提供された。朝食会議もあるし、中日には朝食会場でポスターセッションも開催されていた。朝食は相当好評のようで、7時半にはすっからかんになっていたこともあった。すぐに補充されたけれど、独特のベーグルが人気だった。

【セッション】
90分のセッションに、2名の発表者。さらに発表者には1名ずつDiscussantがつく。Discussantは、発表者の発表の要点をまとめ、特徴についてコメントし、さらに質問があれば質問をする。いわば、議論の火付けをしてくれる役回りだが、これによってその後の質疑がぐっと面白くなっていると実感できる。質疑はかなり活発だ。

今回は私も何度か議論に参加した。言いたいことははっきりしているのだが、英語での表現がおいつかなかった際には、他の参加者が「これはつまりこういう意味だよね?」と通訳をしてくれた。

【コーヒーブレイク】
コーヒー、紅茶、ジュースなどがロビーに提供される。この時間を使って名刺交換をしたり、一息入れたりする。ロビーには、関連する学会の論文募集や、ジャーナルのサンプルが置かれていて、営業の場にもなっているようだ。

【昼食】
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広い会場に円卓がいくつも置かれ、コースの昼食が提供される。
今回は初日はポタージュ、魚のソテー、りんごのタルト。2日目はサラダ、チキングリル、ムース。
空いた席に座るのだが、隣になった人とは、挨拶と握手、そして自己紹介がお決まりのパターンだ。
"Akiko, From Japan"といった具合に。バッジにSTUDENTと書いてあると、「博論のテーマは?」と問われ、ACADEMICと書いてあると、「どこで学位取ったの?」「今の仕事は?」と問われてしまう。今回はACADEMICで行ったので、「(学位の正式決定はまだだけど)いわゆるポスドクです」と説明した。

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デザートに差し掛かる頃、前方の壇上でさまざまな発表やアナウンスがある。それまでは、壇上でずらっと並んで昼食を食べているのが見えていて、迫力がある。
ICISではさまざまな表彰があって、BestPaperの表彰、Dissertation(博士論文)の表彰がこのときに行われる。また、来年度以降の開催についてのお知らせもこのときだ。次回はパリで開催だが、"I Love Paris♪"というBGMに乗って、ユーモアにあふれたプレゼンテーションがなされていた。

【Reception/Social Event】
Opening Receptionはホテル内にて、生演奏付のブッフェが提供された。飲み物はワンドリンクチケット制。おかわりは自分でオーダーする。隣り合った人と握手をし、自己紹介や興味分野の話を続ける。しかし、ものすごい人数だったので、テーブルが足りなかったようだ。ここで知り合った博士の学生とはSNSの話で盛り上がり、Facebookに招待してもらった。

Social Eventは3日目の夜に、場を移動して開催された。地下街を抜けて、高層ビル最上階50階を貸しきってのパーティー。やはりワンドリンク制で、おつまみのお盆を持った人が回ってくる、立食パーティーだ。カニやロブスターのタルトのほか、なんと海苔巻きも出てきた。サーモンかと思いきや、にんじんが巻いてある。しかし、大人気だった。

これも相当の混雑。満員電車並みに混んでいた。19時から24時までというが、途中で抜けてしまった。
夜景がウリだったが、残念ながら雪のために殆ど見えなかった。

【日本からの参加者を】
とにかく、日本人に会わなかった。本セッションの発表者の多くは、シンガポール国立大学出身者が占めており、他にも中国、韓国からの参加者が目立っていた。自分も含め、日本からももっと活発に参加していきたいと思った。

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