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まず「過保護産業」の活性化を

日本経済が今、不況に陥っている基本的な理由のひとつは日本の基幹産業(自動車、家電、コンピュータなど)が バブルの崩壊と 急速な円高で危機的な状況に陥っていることである。今までの石油危機やプラザ合意後の円高ショックは、こうした基幹産業がすさまじい適応能力を発揮することで日本経済を救っていた。つまり、基幹産業が稼いだお金を 間接的な補助金(税金)という形で行政の手厚い保護にあった諸産業(農業、流通、建設、金融、公益企業など)に配分してきたからだった。しかし、今回の円高では、そうした産業が大幅減益となって税収が大幅に伸び悩んでしまったので不況から抜け出すのが難しくなってしまったのだ。

したがって、この不況から抜け出すには過保護産業を規制撤廃によって活性化させ、基幹産業の落ち込みをカバーすることが大きな条件だと言える。そうすることで、 内需が拡大し、 貯蓄投資バランスが回復するので 経常収支黒字が大幅に縮小する。さらに、 内外価格差が大幅に縮小し 日本の市場開放も大幅に進むことが考えられる。さらに、規制によって身動きがとれなかった ニュービジネスの領域が拡大し、それが大きな力になることが期待される。


Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997