みりんに対すること細やかな規制の裏で「社会的規範」からみて重要な分野が
野放しになっている。先にも挙げた未成年に対する酒の販売である。とくに
自動販売機の存在がどれだけ未成年者の飲酒を助長しているかは想像できるだろう。
未成年者にとって酒の入手が店頭で行われる場合と自動販売機で行われる場合では
大きな差がある。余り大きな声では言えないが筆者は中学3年生の時から友人と
一緒に自動販売機で買ったビールを飲んでいた。しかし酒屋に入って酒を買う
ことにはためらいがあった。このように自動販売機は明らかに未成年者の飲酒
を助長しているのだ。
行政がある一方でみりんのように「社会的規範」の名の下で規制をしながらも
その一方で自動販売機に関しては何らかの有効な策を採ることが出来ないのは
自動販売機を撤廃、あるいは未成年者の飲酒に対する規制の強化、
に当たってのメーカーの反発などを恐れているからであろう。
「社会的規範」という理由を挙げて酒税は国民から徴収されているのである。(酒税は
製造者から徴収されるが、その分を消費者である国民が負担しているのは言うまでも
ない。)
「社会的規範」を徴収の理由として掲げている以上、
国民を満足させるに足る成果を挙げられるようなプランニングは義務と言えよう。
徴収された、莫大な額に上る税を運用している側に、現在の社会状況は見えているの
であろうか。
テレビCM、自動販売機などの問題が露呈している現状を差し置いた、曖昧な
「社会的規範」は全く説得力がないのである。