next up previous
Next: 参考文献 Up: 無題 Previous: 終わりに

メンバー紹介

総合2年 堤敏広(班長)                  総合1年 田口雄介

総合1年 伊井真由美                     総合1年 堤祐介

環境1年 石井寛子                       環境1年 長坂泰治

総合1年 上杉信央                       総合1年 橋本亮子

総合1年 小野田哲弥                     総合1年 松井智子

環境1年 笠置進一                       総合1年 村尾花子
    
総合1年 小金谷佳子                     環境1年 森分俊

環境1年 周藤顕一                       総合1年 山本仁美

総合1年 白武瑞穂

我々は地方自治体の1つである東京都の情報公開制度に着目し、それに対する分析を行ないました。さらに、その分析を通して得られたいくつかのデータをも基にして、地方自治体に必要な新たな情報公開制度を提言としてまとめました。地方自治体の行政改革や情報公開の動きは、なかなか表には出てこないものですが、逆にこのようなボトムアップの改革が、真の改革へのスタートとなるのではないでしょうか。

2班 地方自治体における情報公開制度 15


1 眠る情報、死んだ情報公開 16

2 問題ある都の情報公開制度 17

3 情報公開制度の改修 18

4 提言・新情報公開制度 20

1章 眠る情報、死んだ情報公開

今年の4月、青島都知事の誕生とともに騒がれた問題がある。都市博の開催問題だ。選挙とその公約によって、あれほどまでに宣伝された博覧会も珍しいだろう。もっとも、青島氏が都知事になっていなかったら、未だほとんどの人がその開催を知らなかったかもしれないが。

さて、その都市博は結局中止になったわけだが、その裏で臨海副都心計画というものが、未だに続行されているということを知っている人はどれくらいいるだろうか。  いや、そもそも臨海副都心計画と都市博の違いを指摘できる人は、どのくらいいるだろうか。

たしかに、報道機関は公約を厳守するかしないかが争点であったため、臨海副都心計画自体には特に報道がなされていなかったようだ。だから、一般都民が臨海副都心計画というものをよく知らないことは理解できる。そもそも、我々でさえ、慶應大学生という立場に立っていなかったら、知らぬまま過ごしていたかもしれない。そう考えると、一般的に知られていないというのも、不幸ではあるが当然であることなのだろうか。

だが、もし我々がその計画の存在を知り、それについて詳しい情報を得たいと考えたならば、いったいどうすればいいのだろうか。

1つの方法は、報道機関に問い合わせることである。だが、報道機関が取材を行う事象は、この都市博の騒動でもわかるように、視聴者のニーズに合わせたものである。であるから、反対にそのニーズに合わないものはない可能性が高い。つまり、臨海副都心計画の計画自体の情報など、視聴者のニーズに沿っているとはいえないので、報道機関に情報が存在しない可能性がある。

それに、報道機関というものはどうしても、その機関自体が持つ主観というものが入ってしまう可能性がある。データを改竄するというところまではいかないが、故意に隠される可能性がないともいえない。また、仮に隠されたとしても、文句を言う資格がないというのも欠点である。

以上のように、情報というものを報道機関に頼るというのは、きわめて危険であるといえるだろう。

では、いったいどうしたらいいだろうか。そこで出てくるのが、もっとも手っ取り早く感じられる、直接聞くという方法である。具体的にいえば、都庁に行って聞いてみればいいのである。これなら間違いないはずである。それに、都民だったら都への納税者なのであるから、親切かつ丁寧な対応が期待できるのではないか。

だが、実際にはそれほど簡単ではなかったのである。

そもそも、その臨海副都心計画のパンフレットでさえ、1カ所にあるわけではなく、各部署に散らばって置いてあったのである。だから、そういったパンフレットのすべてを集めるためには、都庁の内部をひたすら歩き回らなければならない。それに、それだけ苦労して集めても、所詮パンフレットに過ぎない。

では、もっと詳しい資料が欲しいと思ったとする。そういう場合、情報公開ルームという所に行かねばならない。だが、そこへ行ったとしても、欲しい資料の正確な文書名がわからないと、欲しい資料を得ることはできない。でも、臨海副都心計画のことを詳しく知らないから情報を集めに来ているのに、その情報がある文書の名前がわかるはずがないのである。

それに、仮に欲しい文書名がわかっていたとしても、それが公開か非公開か決定されていない文書だった場合には開示請求というのを行わなければならない。この開示請求をすると、この文書の担当(制作者)が開示・非開示の決定を行うのだが、その決定に10日ほどの日数がかかるのである。これでは情報の自由な閲覧というものがない、と断言してもよいくらいである。

つまり、結局都庁に行って情報を集めたとしても、期待したほどの成果は得られない上に、苦労は大きいものとなるのである。

では、我々はいったいどこで、どうやって調べたらいいのだろうか。いや、そもそも得ることのできない情報なのだろうか。

そんなことはないだろう。我々は納税者なのだ。都を企業ととらえるなら、株主である我々に情報が届かないというのはおかしな話である。

だが、その情報伝達の手段を報道機関に求めるのは無理がある。彼らにはそんな義務はない。

その役割は都自身に求めるべきである。毎日、都の新聞を配達しろ、とは思わない。だが、都庁に行って資料を集めようとしたとき、もう少し使い勝手が良くてもいいのではないか。現状では、一般都民向けの情報公開制度であるとはいえないだろう。

だから、我々は考えるのである。都の情報公開をスムーズにするには、現行の制度のどこをどのように改善し、どのようになったら良いのかを。そして新しい、都にふさわしい情報公開制度を考えてみたいと思う。

2章 問題ある都の情報公開制度

都の現行の情報公開制度は、まったく役に立ってないとはいえないが、使いやすいとはとてもいえないだろう。1章にもあったように、とても一般都民向けの情報公開制度であるとはいえない。実用的でないのである。

では、いったいどのように改善したらいいのだろうか。

もっとも手っ取り早いのは、問題点をなくし、その部分をより良いものとすることである。というわけで、まず問題点を挙げてみたいと思う。

第1に、パンフレットといういわゆる非常に初歩的な資料でさえ、1カ所にまとめて置いておらず、たいへん不便であるということである。このことは、物理的に離れているということで、移動等で大変疲れるということとともに、情報を短時間で集められないということにつながる。それでは資料をもらいに来る意欲が薄れるというものである。つまり、第1の問題点としては、「情報が分散している」ということが挙げられる。

第2に、その得られた資料がパンフレットだけだったということである。つまり、情報がパンフレットからしか得られなかったということである。パンフレットというものは、発行する側にとって都合の良いものである。なぜなら、発行する側に都合の良い情報だけ載せたとしても、読む側はわからない可能性が高いからである。たしかに、データや情報を改竄したら犯罪だろうが、載せなかっただけでは罪に問われないだろう。こうやって考えてみると、意地の悪い考え方をすれば、都は自分にとって都合の良い情報しか公開していない可能性もあるのである。

第3に、情報公開ルームに行っても、文書を公開してもらうことができなかったということが挙げられる。たしかに、都の職員に言わせれば、文書名がわからない方が悪い、ということになるのかもしれない。だが、文書名がわからないような人が来ても、そういった文書の情報が得られるというのが、本当の情報公開制度というものではないだろうか。そうでなかったら、「臨海副都心計画について知りたい」といった素朴な疑問を持った一般都民が都庁にやってきたとしても、パンフレットをもらうことしかできないことになってしまう。そもそも、そういう計画を詳しく知らないから情報を求めに来るのであって、そういう人が文書名を知っているわけがないのである。逆にいえば、知ってるようなプロでなければ、情報の公開がなされないような制度であるといえる。つまり、「現行の情報公開制度は、一般都民にとって実用的ではない」という問題点が挙げられるのである。

そして最後の問題点は、仮に開示してもらいたい文書名がわかっていたとしても、その文書が開示・非開示が決定されていないものだった場合、その決定に10日もの月日がかかることである。ちなみに、開示・非開示が決定されている文書というものは、あまりない。つまり、具体的にいえば、何らかの名前のわかっている文書を見たい場合、まず開示請求を行いに都庁へ行き、それから10日後に開示が決定された旨を知らされたら、再びその開示された文書を見るために都庁に行かなくてはならないのである。もちろん、10日後に非開示を通告されるかもしれない。だが、開示してもらえるかどうかに10日もかかるような制度では、とても情報の自由な閲覧のできる制度であるとはいえないだろう。ようするに、この最後の問題点は、「開示・非開示の決定に時間がかかる」ということである。

さて、以上4つの問題点を整理すると、次のようになる。

  (1) 情報が分散している

  (2) 与える側に都合のよい情報しか公開されてない可能性がある

  (3) 一般都民にとって実用的ではない

  (4) 開示・非開示の決定に時間がかかる

3章 情報公開制度の改修

現状の情報公開制度には、2章で挙げたように4つの欠陥がある。そこで我々はこの4つの問題の解消について考えてみることにした。

まず第1に、(1)の情報が分散している、という問題点であるが、これは情報を一元化することで解消できるのではないだろうか。具体的にいえば、文書や資料、パンフレットを含めた情報すべての統括を行う機関をつくり、外部から情報を得るために来た者はここに行くだけで、どのような媒体のどんな情報でも手に入るようにするのである。このようにすれば、情報を得ようとする人は1カ所に集中された、その機関に行く不便以外はなくなる。つまり、情報を得るために様々な部署を回るという苦労がなくなるのだ。それは情報の収集が短時間で行えることを示す。要するに、この情報の一元化は物理的かつ、時間的な情報公開制度の欠陥を解消するのである。

次に、(2)の与える側に都合のよい情報しか公開されてない可能性がある、という問題点であるが、これはいったいどうしたらいいだろうか。この問題点については、なぜそのようなことが起こる可能性があるかを考えてみなくてはならないだろう。

現在の制度では公開の請求があると、その文書をつくったところが公開するかどうかを決めている。もちろん、その公開、非公開の決定は東京都の情報公開条例に照らし合わせて行っている。だが、この東京都の情報公開条例はその情報に対する解釈の仕方によって、公開、非公開の決定結果が180度変わってしまう曖昧さを持っている。

例えば、一般都民にとっては都で行なわれる入札の際の会議等は公開するのは当然であり、公開しない理由もないと判断する人が多いだろう。だが、都の役人や、入札を行なった企業にとっては、それは秘密で行なわれた方が都合がいいだろうし、そのような都合のいい解釈を情報公開条例に求めることも可能だろう。憲法9条にもいえることだが、そういった法や条例の都合のいい解釈など簡単であるし、その結果が全く反対になっているのは周知の事実である。つまり、その情報がどのようなものか解釈を行う機関によって、公開になったり、非公開になったりしてしまう可能性があるのだ。だから、この解釈を行う機関がどのような人かを考えなくてはならない。

では、この解釈を行う機関というのが現在の制度ではだれかというと、その対象となる文書をつくったところということになる。このつくったところが行う、というところが問題なのだ。なぜなら、つくった機関はその文書の公開によって、不利益を被る可能性のあるところであるからである。具体的にいうと、文書を公開することで東京都と請求者だけの問題ではなくなってしまうのだ。なぜかというと、そのことによって第3者の、都と関係のある企業や個人などにも影響が及び、そういったところとの信頼関係を損ねたりすることを行政の担当者が恐れるからである。つまり、解釈を行う機関がその文書の製作機関である現状では、仕事先との関係を悪くしたくないという「行政の論理」が情報の非公開を招くのを避けることができないのだ。

それでは、いったいどうしたらよいだろうか。解釈を行う機関が、ある意味、周りの状況を無視して、都の情報公開条例に忠実に行えればいいのである。だが、それを行うには解釈を行う機関がその文書の製作機関ではうまくいかないだろう。だから、その解釈を行い、開示・非開示を決定するところを、文書の製作機関とまったく別な機関とすればいいのである。このようにすれば開示・非開示の際の文書の解釈に、「行政の論理」が働くことをある程度避けられるのではないか。

では、(3)の問題点の、一般都民にとって実用的な情報公開制度ではない、ということについては、どのようにしたらよいであろうか。

この問題について、まずいわなければならないことは、文書名がわからないからといって情報が得られないことはおかしいということである。あなたがもし、初めて入ったお店でメニューも見せられずに注文を尋ねられたら困ってしまうだろう。このことと同じである。いきなり、欲しい文書の特定化をいわれても、リストも知識もないのに答えられるわけがない。先ほどの比喩を使えば、都の情報公開制度は、そのお店が何を出しているか知っている常連や一部の通のような人でなければ、使えない制度なのである。逆にいえば、そんなことを知らない普通のお客さんのような人は、ただひたすら困ってしまう制度なのである。

このように、都の現在の情報公開制度は一般都民にとって実用的でないことは明白である。一般都民が欲しい情報を文書名を知らなくても得られるようでなくてはならない。つまり、一般都民が欲しいと思った情報について、文書名の特定化という翻訳を行ってくれる人が必要なのである。普通の都民が行政のことを何か知ろうと考えたとき、最初に文書の特定化を迫られるのではなく、「どのようなことを知りたいのですか?」と言ってもらえるような仕組みがなければ、現行の公開制度すら有効に活用することはできないだろう。また、「こんなことを知りたい」と漠然と考えただけで、必要な文書を公開してくれるようでなければ、普通の都民が都の行政情報を得るのは不可能である。それに、たとえ得ようという意欲があっても、その難しさゆえに挫折して、都の情報を得ようという意欲さえ失わせてしまい、そのため都民が都の行動をチェックすることをあきらめてしまう恐れさえある。都民の視点に立った情報公開制度を作り上げるために、行政側と、都政のことをほとんど知らない請求者の間の橋渡しをする人間が必要なのである。

つまり我々としては、この実用的ではないという問題は、請求者と行政との橋渡しを行えるような人間を要することが必要だと考えるのである。反対にいえば、そのような人間がいれば都の情報公開制度は実用的になるのではないか。

そして最後に(4)の、開示・非開示の決定に時間がかかるという問題である。これについては、なぜ時間がかかるかということを考えなければならないだろう。

では、なぜ時間がかかるのか。端的にいえば、開示請求がなされてから、開示か非開示を決めるからである。もちろん、請求から10日もかかるのはおかしいから、早く決定してもらって、2日後くらいに開示・非開示の決定をして欲しいというのも1つの考え方である。だが、もっといえば、そもそもそれぞれの文書について開示・非開示の決定が最初からなされていれば、1日も、1時間もかからずに開示をしてもらえるか、してもらえないかの結論が出るはずである。というより、開示できる文書しか置いておかなければよいのである。

つまり、この(4)の問題は、それぞれの文書について最初から開示・非開示を決定しておけばよいということになる。そうすることが、開示・非開示の決定に時間がかかるという不便をなくすことになるだろう。

さて、以上のような分析結果をまとめてみよう。

  (1) 情報が分散している
     ……情報を一元化する

  (2) 与える側に都合のよい情報しか公開されていない可能性がある
     ……開示・非開示の決定を担当機関とは別な機関が行う

  (3) 一般都民にとって実用的ではない
     ……請求者と行政との橋渡しを行えるような人間を要する

  (4) 開示・非開示の決定に時間がかかる
     ……それぞれの文書について最初から開示・非開示を決定しておく

4章 提言・新情報公開制度

情報公開の目的は「行政への参加と監視」の仕組みを確立させることだ、といわれる。だが、現実にそのようなことができるだろうか。少なくとも、東京都の情報公開制度を利用しての臨海副都心計画に対する「参加」や「監視」は、普通の都民には不可能であるとの印象を受けた。それは、同じ制度を活用している他の行政活動にもいえるのではないだろうか。つまり、現行の制度ではとても都政を監視することはできないと思えるのである。普通の、一般の都民が簡単に利用できる情報公開制度を確立させなければ、「行政への参加と監視」の仕組みを確立させることなど、永久に不可能であるといえるだろう。

「参加」や「監視」のない情報公開制度、それではダメなのである。そんなものでは情報公開の意味がないというものだ。本来の目的である「行政への参加と監視」の仕組みを確立させることができなくて、何が情報公開だ、である。本末転倒とはこのことだ。本来の目的を忘れて、どれだけ情報が公開されているか、という議論だけで進むのは危険である。どれだけ簡単に情報が得られるか、どれだけ情報公開の制度が整備されているか、そしてどれだけ行政への監視ができるか、という原点に立ち戻らなくてはならない。

目的を忘れた議論など、具のない餃子のようなものだ。今こそ、情報公開の制度を見直し、市民の行政への参加を促進させるような制度にしなくてはならない。

我々は、このコンセプトに基づき、東京都の情報公開制度にスポットライトをあて、その制度を知り、分析することにより、新たな制度の構築にたどり着いたのである。そしてそれを2つの提言というかたちにまとめてみた。

  

1. 「行政文書館」の設立


  

2. 「都民の秘書」制度の成立



以上、この2つが我々の提言2大柱である。

まず、「行政文書館」の設立について説明しよう。

これは情報の管理を一元化し、自由に公文書を閲覧できるシステムをつくる、という目的をもとに考え出された公文書館である。

3章の(1)のように、現在の都の情報公開制度での情報は分散しており、一元化が必要である。

また(2)のように、与える側に都合のよい情報しか公開されない可能性を消すため、開示・非開示を決定する新たな機関が必要である。

つまり、(1)と(2)の問題を解消するには、必然的に新たな機関が必要となってくるのである。そこで登場するのが「行政文書館」である。

この「行政文書館」は、都が仕事をする上で作成したり取得したりした文書をすべて集めた図書館のようなもので、都政に関する情報を自由に見られる施設である。また、この「行政文書館」は開示・非開示を決定する機関でもあり、そのため他の都の機関とは完全に独立した施設である。だから、「行政の論理」に惑わされることなく、都の情報公開条例に沿った情報の開示が行われるだろう。もちろん、その開示・非開示の決定は文書が収められた時点であり、文書の開示請求後ではない。このようにすれば、(4)の開示・非開示の決定に時間がかかるという問題点も、打破できるであろう。

以上のように、「行政文書館」の設立は情報の一元化を実現し、「行政の論理」に惑わされない情報の開示、自由な文書の閲覧を可能とするのである。

次に、「都民の秘書」制度を説明しよう。

(3)であったように、現在の情報公開制度を一般都民にも実用的にするには、情報を請求する人と行政との橋渡しをするような人間が必要である。その人間こそが「都民の秘書」なのである。

具体的にいえば、この「都民の秘書」というポストをつくり、その人たちに「行政図書館」にいてもらうのである。そこで、普通のそれほど都政を知っているわけではない都民が漠然とした考えのまま文書の公開を求めたとき、それにふさわしい文書を渡したり、簡単な基礎知識程度はレクチャーしてあげるようにする。もちろん、都にとって不都合な情報も隠したりはしない。こういったことが「都民の秘書」の役割である。

このような、ある意味便利屋的な「都民の秘書」の存在により、どのような情報も簡単かつ、スムーズに得ることができるだろう。いわば、普通の都民用語と行政用語の通訳となるのが「都民の秘書」なのである。

さて、以上の2つの柱を我々の提唱するべき新情報公開制度とする。この2つの制度が確立されなければ、情報を得るのに時間がかかり過ぎるし、漠然とした問題意識のままでは何も知ることができないという大きな問題が解決されないだろう。一般の、普通の都民がより簡単に情報にアクセスできるようにするための「行政文書館」であり、「都民の秘書」制度であるのだ。

我々はこういった制度の確立を、東京都に対して強く望む。なぜなら、この2つの制度こそが東京都の情報公開の役割を増すことにつながるとともに、情報公開の本来の意義である「行政の参加と監視」の仕組みの確立に間違いなく役立つはずであるからだ。



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997