中東和平について考える
   1.パレスチナ紛争をめぐる歴史的背景
   2.中東和平プロセスの展開
   3.中東和平に対する各国の態度
 4.国際関係論における宗教
 5.中東和平をめぐる今後の展望




1 パレスチナ紛争をめぐる歴史的背景
@聖書の時代
・数千年の歴史が関連する問題
・歴史的事実を押さえておく必要性

Aオスマン帝国の時代
・イスラーム的支配の確立
・納税と引き替えに宗教的自治を認める
・各民族、各宗教の共存状態

B第一次世界大戦とアラブ諸国体制の成立
・オスマン帝国の解体と英仏植民地宗主国による新たな国割りシステムの誕生 
・中東における諸問題の起源としての秘密協定(イギリスの機会主義的対応の結果)
・サイクス=ピコ秘密協定(1916年)
・フサイン=マクマホン書簡(1916?17年)
・バルフォア宣言(1917年)
・サンレモ会議(1920年)→サイクス=ピコ条約、バルフォア宣言の実施を決定

C戦間期(第一次世界大戦と第二次世界大戦)の時代
・移民によるユダヤ人人口の増大と土地購入によるユダヤ人所有地の拡大
・委任統治の矛盾とパレスチナ・アラブによる強い反発
・ナチス政権の誕生とドイツからのユダヤ人移民の急増→再びアラブ側の反発
・イギリス政府によるパレスチナ分割案の提示(後の国連パレスチナ分割案の原型) 

D第二次世界大戦とパレスチナ分割
・イギリスによるパレスチナ白書(マクドナルド白書)の発表(1939年)→バルフォア宣言を事実上撤回する政策
・イギリスのイニシアティブによりアラブ連盟が結成(1945年)
・第二次世界大戦後イギリスはパレスチナ委任統治の権限を国際連合に返上
・国連総会においてパレスチナ分割決議案が決議(1947年)
・パレスチナは内戦状態に突入

E戦争の時代
・ベングリオンによるイスラエル独立宣言(1948年)
・翌日、アラブ連合軍は分割案でアラブ国家に指定された地域を確保するために侵攻開始
・第一次中東戦争(パレスチナ戦争、独立戦争)(1948?49年) 
・第二次中東戦争(スエズ戦争、シナイ戦争)(1956年)
・第三次中東戦争(6月戦争、6日間戦争)(19667年)
 →ヨルダン川西岸、ゴラン高原、ガザ地区、シナイ半島を占領 
・第四次中東戦争(ラマダン戦争または10月戦争、ヨム・キップール戦争)(1973年)
 →イスラエルの「不敗神話」が崩れる
・アラブ首脳会議においてパレスチナ解放機構(PLO)の設立が決定(1964年)

F和平模索の時代
・キャンプデービッド合意(サダト大統領、ベギン首相、カーター大統領)(1978年)
 →イスラエル=エジプトの和平達成。シナイ半島の返還。「領土と平和の交換」。
PLOの台頭
・インティファーダの勃発(1987年)

G二つの戦後と中東和平
・湾岸戦争におけるサダム・フセイン大統領のリンケージ戦略
・冷戦の終結と「新世界秩序」(New World Order
・マドリード和平会議と現行の中東和平プロセスの開始(1991年)

2 中東和平プロセスの展開

@中東和平プロセスの枠組
・国連安保理決議242号(1967年)、338号(1973年)を交渉の原則に
・ダブルトラックアプローチ

Aオスロ合意(オスロT)の締結
・ホルスト(ノルウェー外相)の仲介により、イスラエルとPLOが相互承認(1993年)
・アメリカがPLOをパレスチナの唯一合法的な代表として正式に承認
5年間のパレスチナ暫定自治を合意
・カイロでガザ・エリコ先行自治協定の調印(19955月)

Bパレスチナ拡大自治合意(オスロU)の締結
・イスラエル軍の西岸主要都市からの撤退。パレスチナ自治区の範囲拡大。(19959月)
・パレスチナ統治機構の議長選挙でアラファトが選出される(19961月)

Cイスラエル=ジョルダン間の和平合意
・エジプトに続きジョルダンがイスラエルと和平合意(199410月)

Dその後の展開
・ヘブロン合意(19971月)
・ワイ・リバー合意(199810月)
・シャルム・アッ・シャイフ覚書(19999月)
・クリントン大統領によるキャンプデービッドU会談(20007月)→決裂

3 中東和平に対する各国の態度  
@アメリカの態度
・積極的に関与
・イスラエルに対する軍事援助、経済援助。 
・なぜ、アメリカはこれほどまでにイスラエルをサポートするのか?
・アメリカとイスラエルの「特殊関係」
・和平仲介者としての役割

Aエジプト、ジョルダンの態度
・アラブの大国、アラブの穏健派として仲介者の役割

B日本の態度
・和平交渉を側面からサポート
・長期的な地域の安定のための努力

CEUの態度
・基本的には和平交渉を側面からサポートする努力
・現行の和平プロセスと平行して独自の外交政策も模索

4 国際関係論における宗教

@国際関係における宗教復興の動き
・各宗教におけるファンダメンタリズム(原理主義)の高まり
・国際関係を考える際に宗教は重要なファクター

A宗教国家と表現できるような国家群の存在
・イスラーム的宗教国家(イラン、サウジアラビア、シリアなど)
・ユダヤ教的宗教国家(イスラエル)

Bパレスチナ紛争は宗教紛争か?

5 中東和平をめぐる今後の展望
@残された解決困難な問題
・エルサレム問題
・パレスチナ難民の帰還問題
・ユダヤ人入植地問題

A現在の危機的状況の原因は?
・アメリカの国内的要因
・イスラエルの国内的要因
PLO内部の問題

B中東和平プロセスは崩壊してしまったのか?