・バランス・オブ・パワー(Balance of Power
   ・安全保障に関する四つのアプローチ(既に説明した資料)を参照

    1.BOPの前提
    2.理念型のBOPが機能した例
    3.理念型のBOPが機能した理由
    4.BOP的傾向が読みとれる第二次世界大戦後の事例
  5.理念型としてのバランス・オブ・パワーシステムの困難性
    6.理念型としてのバランス・オブ・パワーシステムの困難性
 
 



 
 
バランス・オブ・パワー


1 BOPの前提

@いくつかの国家にとっては、地域的な、あるいはグローバルな覇権を求める可能性があり、おそらくはそれは自然な傾向である。
Aそれらの諸国(一カ国である場合が多い)の覇権を求める行動は、地域やグローバルな世界の平和と秩序を混乱させるおそれがある。
Bその他の諸国は、自国の力を強化したり、別の脅威に晒されている国々と反覇権の同盟 を形成することによって、それら国家の覇権行動を抑止しようとする。
C以上のことから、BOPは、国家の独立を維持する点で、また、秩序と平和を促す均衡を
 作り出すという意味で、望ましい。

2 理念型のBOPが機能した例

@16世紀に、隆盛なスペインに対してフランス、英国などが、オスマン帝国まで誘って結んだ同盟
Aウェストファリア条約以降の欧州
B17世紀から18世紀にかけての覇権を求めたフランスに対する、英国、オランダ等周辺諸国の対仏同盟
C18世紀末によるロシア・オーストリア・プロイセンによるポーランド分割 

 

3 理念型のBOPが機能した理由


4 BOP的傾向が読みとれる第二次世界大戦後の事例

@アジアにおける中国への周辺諸国の脅威(1990年代以降)

A中東におけるイスラム原理主義の脅威(1980年代以降) B冷戦期におけるソ連台頭への脅威(1950年代) C新冷戦期におけるソ連の脅威への対抗(1980年代) D冷戦期以降の中台関係のバランス維持(1950年代以降) E冷戦期以降の朝鮮半島のバランス維持(1950年代以降) F1970代はじめの国際システム

5 理念型としてのバランス・オブ・パワーシステムの困難性

@国力がほぼ同じの五カ国程度が存在することが望ましいが、現実は異なる
・冷戦期のように二国対立では、バランスがとりにくく不安定になる

ABOPをシステム維持のメカニズムとして必ずしも認識せず
*「昨日の敵は明日の友」の考え方が各国に共有され、それを実行に移さないと、BOPは機能しない
・BOPを共通の価値観にしない国がシステムの有力国として登場
 
 

以上のように、古典的、理念的なBOPは機能してはいないが(冷戦後、機能するのではないかとの議論あり)、各国とも、他国のパワーや、バランスを重視して行動しているといえる。
 

6 BOP(理念型とは限らず)について討論