1996年11月5日、アメリカでは20世紀最後の大統領が選ばれた。大統領選は5日、 全米各週で投票、即日開票され、民主党のクリントン大統領がドール共和党候 補を圧倒し、再選を果たした。好調な景気や雇用情勢などを背景に、クリント ン氏の内政、外交政策や人格問題に対するドール氏の批判をはねのけた。
クリントン氏はペンシルバニア、ニュージャージー、マサチューセッツなど基 盤とする東部12州・特別区で完勝したのを始め、イリノイ、ミシガン、ミズー リなど中西部でも安定した強みを見せ、早々と当選に必要な270人の選挙人 (合計538人)を獲得。カルフォルニアなど西部各州も押さえ、400人に迫る勢 いを見せた。
南部の大票田で4年前の選挙では敗北したフロリダなどでも勝利するなどフラ ンクリン・ルーズベルト大統領以来、約半世紀ぶり。
一方のドール氏は、テキサス、アラバマ、オクラホマなど南部を死守したもの の、4年前に共和党のブッシュが獲得した18州(選挙人・168人)に達するのは 難しい情勢だ。
自ら改革党を結成し、出馬したペロー候補は前回の得票率19%には遠く及ばな かったものの、8%程度を獲得。二大政党への不満層が依然として多いことを うかがわせた。
戦後最低の投票率48%の選挙の結果、得票率は民主党候補のクリントンが49%、 共和党候補のドール氏が41%だが、選挙人の獲得数では379対159で、クリント ンが圧勝した。
民主党の支持基盤は、都市住民、少数民族、女性、信仰心の薄い人たちで構成されている。 地域で言えば、西海岸や北東部が中心である。実際、クリントンは東西の沿岸 部の大半を制し、女性票の54%、黒人票の83%を獲得した。
一方、当時に実施された議会選では共和党が善戦。上院で過半数を維持したの に加え、焦点の下院でも優位を保っており、2期目のクリントン政権は引き続 き共和党議会との対決を迫られる可能性が高い。
クリントンは選挙戦のスタートの時点から優位を保ち、そのままゴールテープ
を切った。 だが、2期目の政権運営がスムーズにいくとは限らない。議会の方
は、共和党が上下両院で過半数を維持することになったからだ。どうやらアメ
リカ国民は、やむをえず現状維持を選択しただけで、クリントンを全面的に支
持したわけではないようだ。