●モンブラン・#149 を擁護する

モンブランのフラッグシップモデルは言わずと知れた「Meisterstuck:マイスターシュトゥック」。直訳すれば「最高傑作」か。
モンブランのマイスターシュトゥックにはいくつかの基本的なモデルがあり、主にペン先の太さとペン軸の太さにより番号で区別される。最大のモデルは多くの作家に愛された#149である。
全長: 164mm(収納時149mm)
最大径:約16mm
重量: 約33g
一般的に、一回り小さい#146のほうがバランスが良いと言われる。客観的に見て、#149の重量33gは重いのである。が、私の手には#149が合うようだ。何故かと考えてみると、普段私は#149のキャップをとって筆記することが多いからである。キャップを取ると、重量が24g程度になり、多くの万年筆の重量と等しくなる。キャップをつけたままの筆記は、まるで定規でも握っているかのごとき感覚で、くたびれるばかりか、目立つ。
経験的に、ペリカンM1000やセーラーのキングプロフィットなどの大型万年筆と付き合うときは、キャップを嵌めたり外したりしながら、手の負担に変化をもたせて筆記し続けると楽しいものである。
ニブについて。「モンブランのニブは硬くなった」とは言い尽くされたインプレッションであろう。確かに#146の小さくて分厚いニブは柔軟性があるとは言えず、非常に硬いバネのようである。#149の硬さは#146よりも顕著で、殆どしならない。国産万年筆の、毛筆のようなタッチはモンブランに望むべくもないことは事実である。
しかし、#149は#149で使い道がある。
一言で言うと、高品質万年筆のなかで、モンブラン#149は最もタフで乱雑な筆記に耐える道具だということである。
ヘビーライターの筆記速度は速い。速い筆記は強い筆圧を伴う。書けば書くほど筆圧は強くなり、セーラーのような柔らかいペン先では先端が開いてしまい、インクが途切れることになる。勢い、筆記速度が乗ってきたときには、柔軟なペン先の万年筆には降板してもらわねばならない。
そんなときに、硬くて味気ないと思っていたマイスターシュトゥック#149を握ってみると、このペンの良さが分かる。#149は、人間が筆記という思考過程に完全に集中することを可能にする道具だという事である。#149は詩を書くためのペンでもなく、ペン先のしなりを堪能するためのペンでもない。#149は筆記のための、それもとびきりハードで長時間の筆記をこなすためのペンなのだ。
柔らかいペン先のしなりを気にしながら筆記するなどというのは、人間と道具とのゆがんだ関係かもしれない、と考えさせてくれた万年筆であった。

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