4658 | 返信 | 在日参政権に反対する奇妙な顔ぶれ | URL | ベルナール | 2000/12/21 09:51 | |
今月号の『正論』(1月号)に、手島勲矢なるユダヤ学者の「ユダヤ人の苦難から見た外国人参政権問題--"国法にのみ従う国民"と"国法に従う外国人"の決定的差異」なる記事が載っている。
『正論』に執筆する多くの年寄りのヨタ話と内容は変わりないのだが、一見するとそうは見えないのが曲者である。手島は、はなからこう暴論を展開する。 ユダヤ人の歴史と「在日」の歴史的アナロジーは安直にすべきではないが、「補囚」 と「離散」という概念という概念を用いて、在日韓国・朝鮮人の状況を説明すること は十分に可能である。 この文の妥当なのは前半だけだが、「(なるほど)…だが、〜」という学問的に見える譲歩によって、『正論』の定期購するような知的訓練に乏しい読者を籠絡していまうのが困りものである。 言うまでもないことだが、国法は、日本が諸外国や国際機関と結んだ条約によっても、再規定や再解釈をともなうことがある。在日韓国・朝鮮人のステイタスにかかわる条約で思い出されるは、国連の「人種差別撤廃条約」である。 同条約は、1996年日本政府によって批准され、現在国内法の整備に向けて作業が進められている。本来ならば、翌年報告書を提出しなければならなかったのだが、昨年に持ち越されてしまった報告書には、第5条には、「政治的権利(参政権/公務就業権)」に関する項目がある。 旧約学など専門家は、イザヤ・ベンダサンのインチキぶりを看破した浅見定雄氏のような例外を除けば、世事に疎く、政治的発言をしないことが多い。ましてや、『正論』のような、その人物の社会的信用を失墜させかねないイエロー・ジャーナリズムなどにはかかわりを持ちたくないというのが、多くの研究者の心情であろう。 オウム真理教が「アレフ」と改名した時、ヘブライ語の「アレフ」の解説でテレビなどに出演したこの手島勲矢氏には、じつは別の顔がある。 昨年、『国民の歴史』なる、枕がわりにしかならないクズ本が、全国の教育関係者の自宅に送り付けられるという社会事件があったのは、まだ記憶に新しい。送り主の「○ ○の父母の会」なる団体は、原理主義的傾向の強い新興宗教「キリストの幕屋」のダミー組織で、この宗教団体は、藤岡信勝氏の「自由主義史観研究会」を支える最大の団体である。 「神癒」など称し、心霊の力で病を直すなどいかがわしい教義を唱えるこの団体は、またその国粋主義的主張でも知られている。神田(東京)の神保町のとあるフロアに「ミルトス」なる出版社があるが、ここは「幕屋」が経営するもので、同名の機関誌(本年6月廃刊)では、南京虐殺否定論をとなえる東中野修道氏への共感が表明されていた。 この「幕屋」なる団体は、手島郁郎によって創設され、この手島勲矢氏はその後継者なのだ。これで、なぜユダヤ学者が、『正論』などといういかがわしい雑誌に顔を見せるのかお分かりだろう。 この蒙昧なるユダヤ学者には、旧約の「申命記」(10:17-19)の以下の一節を再読することをお薦めしたい。 あなたたちの神、主は神々の神、主なる者の中の主、偉大にして勇ましく畏るべき 神、人を偏より見ず、賄賂を取ることをせず、孤児と寡婦の権利を守り、寄留者を愛 し食物と衣服を与えられる。あなたたちは寄留者を愛しなさい。あなたたちもエジプ トの国で寄留者であった。(新共同訳,p.345) この心を揺すぶる一節に付け加えるべき一言もないだろう。 |
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