6148 | 返信 | 特定郵便局について | URL | 五番街 | 2001/04/22 10:35 | |
五番街です。久しぶりに投稿させていただきます。
特定郵便局について話題になっていますので、豆知識的にその由来などを、ぜーんぶ記憶で書く ことにします。 明治の初めに前島密によって、日本の郵便制度が創設されましたが、全国津々浦々に郵便配達網を 構築するには、いかんせん財源が極端に不足していました。そのため、政府は田舎の旧庄屋、 大百姓、造り酒屋などの有産階級に目を付け、彼らを特定郵便局長として薄給で雇用し、彼らの納 屋や住居の一角などを局舎として使用するという妙案を考えつきました。 この案はもくろみ通りに成功し、多くの田舎の有産階級が政府の要請を受けて特定郵便局長となり、 局員が一人、あるいは二人のような小さな郵便局が全国いたるところで誕生しました。 彼らは、「国のため」という殺し文句に弱く、「国家公務員」という地位も自尊心を満足させ るものであったために、さらに薄給であるとはいえ、カネに困っているのでもなく、時間を もてあましている状態であったために、むしろ歓迎して、特定郵便局長になったワケです。そして 局長としての仕事も簡単なものでした。 今日でも、特定郵便局長が「地方の名士」と言われるのは、彼らの前身あるいは本業が影響力を持っ ていたからです(ただし、公務員ですから、村長や村議会議員になることはできませんが)。 戦前には、特定郵便局の妻も局員として(仕事をしないのに)給料を受けるという特典があったよう ですが、これは現在まで存続しているのかどうかは分かりません(たぶん、廃止されていると思いま す)。現在まで継続している特定郵便局の特典は、郵便局長が後継者を指名できることです。そのた め、多くの特定郵便局は家業のように息子から孫へと代々受け継がれています。 つまり、特定郵便局長が郵便局制度の民営化に反対する理由の一つは、彼らの100年以上の「家業」 が失われ、地域社会での位置が崩れる可能性があるためです。特に戦後の農地改革によって土地を 失った者などにとっては、「特定郵便局長」という肩書きを失えば、タダの人になってしまうことになります。 なお、縁戚関係がない者が特定郵便局長として指名を受けるために、前任の局長に多額の カネを支払うというケースも見られるようですが、それがどの程度一般化しているかは知りません。 もう一つの利権は、政府から局舎の賃貸料が支払われることです。むろん局長は、土地を手当てして 局舎を自分で建てなければなりません。この賃貸料は政府の基準によって決められており、 有利な額のようです。そのため、局長としの給料以外の収入源が確保できるワケです。 特定郵便局長の利権といっても、この程度のものだと思うのですが。 一方で、利用者の側から見れば、民営化によって不採算局の統廃合が行われると、村の郵便局がなく なって、遠くの郵便局まで足を運ばなければならない、という不便さが生じる可能性があります。 |
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