6398 | 返信 | Re:帝国議会 2 −反軍演説− | URL | カラバ | 2001/05/21 21:57 | |
> 1927年に「対支政策要綱」で満蒙問題を武力解決する「覚悟」が決められています。議会がこの時点で軍事費を削減せよと言える状態であったか 疑問であると思いますがいかがでしょうか?
1927年以降にも痛烈に軍部批判をした演説はあります。ネットで見つけられなかったですが、おいおいにご案内できると思います。 それから13年後の反軍演説について 斎藤隆夫「支那事変処理に関する質問演説」 昭和十五年二月二日、第七十五議会における演説 http://www.yo.rim.or.jp/~yamma/zenbun.html 全文ご紹介したいのですが、長い演説ですので抜粋いたします。 (前略) 支那事変の処理は申すまでもなく非常に重大なる問題であります。今日我国 の政治問題としてこれ以上重大なるところの問題はない。のみならず今日の内 外政治はいずれも支那事変を中心として、この周囲に動いているのである。そ れ故に我々は申すに及ばず、全国民の聴かんとするところももとよりここにあ るのであります。一体支那事変はどうなるものであるか、いつ済むのであるか、 いつまで続くものであるか、政府は支那事変を処理すると声明しているが如何 にこれを処理せんとするのであるか。国民は聴たんと欲して聴くことが出来ず、 この議会を通じて聴くことが出来得ると期待しない者は恐らくー人もないであ ろうと思う。 (中略) そこでまず第一に我々が支那事変の処理を考うるに当りましては、寸時も忘 れてならぬものがあるのであります。それは何であるか、他のことではない。 この事志気を遂行するに当りまして、過去二年有半の長きに亘って我が国家国 民が払いたるところの絶大なる犠牲であるのてあります。即ちこの間におきま して我が国民が払いたるところの犠牲、即ち遠くは海を越えてかの地に転戦す るところの百万、二百万の将兵諸士を初めとして、近くはこれを後援するとこ ろの国民か払いたる生命、自由、財産その他一切の犠牲は、この壇上におきま して如何なる人の口舌をもってするも、その万分の一をも尽すことは出来ない のであります。 (中略) なおこれに関連してお尋ねをしておきたいことがある。ここに昨年12月11日付 をもって発表せられたる「東亜新秩序答申案要旨」というものがある。これは興 亜院において委員会を設けて審議せられたるところのその答申案であります。こ れを見まするというと、我々にはなかなか難しくて分らない文句が大分並べてあ る。即ち皇道的至上命令、「うしはく」に非ずして「しらす」ことをもって本義 とすることは我が皇道の根本原則、支那王道の理想、八紘一宇の皇謨、なかなか これは難しくして精神講話のように聞えるのでありまして、私ども実際政治に頭 を突込んでいる者にはなかなか理解し難いのであります。 (中略) 現実に即せざるところの国策は真の国策にあらずして、一種の空想であります、 まず第一に東洋永遠の平和、世界永遠の平和、これは望ましきことではあります るが、実際これが実現するものであるか否やということについては、お互いに考 えねばならぬことである。古来いずれの時代におきましても平和論や平和運動の 止むことはない。宗教家は申すに及ばず、各国の政治家らも口を開けば世界の平 和を唱える。また平和論の前には何人といえども真正面からして反対は出来ない のであります。しかしながら世界の平和などが実際得られるものであるか、これ はなかなか難しいことであります。 (中略) もしこれを疑われるのでありますならば、最近五十年間における東洋の歴史を見 ましょう。先ほど申し上げました通りに、我国はかつて支那と戦った。その戦い においても東洋永遠の平和が唱えられたのである。次にロシアと戦った。その時 にも東洋永遠の平和が唱えられたのである。また平和を目的として戦後の条約も 締結せられたのてありまするが、平和が得られましたか。得られないではないか、 平和が得られないからして今回の日支事変も起こって来たのである。 (中略) ドイツを中心とするところの同盟側、イギリスを中心とするところの連合側、 いずれも正義は我に在りど叫んだのでありますが、戦争の結果はどうなったか。 正義が勝って不正義が敗けたのでありますか。そうではないのでありましょう。 正義や不正義はどこかへ飛んで行って、つまり同盟側の力が尽き果てたからし て投げ出したに過ぎないのであります。今回の戦争に当りましても相変らず正 義論を闘わしておりますが、この正義論の価値は知るべきのみであります。 (中略) この現実を無視して、 ただいたずらに聖戦の美名に隠れて、国民的犠牲を閑却し、日く国際正義、日く 道義外交、日く共存共栄、日く世界の平和、かくのごとき雲を掴むような文字を 列べ立てて、そうして千載一遇の機会を逸し、国家百年の大計を誤るようなこと かありましたならば (小田栄君「要点を言え、要点を」と叫び、 その他発言する者多し) 議長(小山松寿君)静粛に願います、小田君に注意致します。 斎藤隆夫君(続)現在の政治家は死してもその罪を滅ぼすことは出来ない。 私はこの考えをもって近衛声明を静かに検討しているのであります。 (中略) 歴代の政府は国民に向ってしきりに精神運動を始めている。精神運動は極めて 大切でありまするが、精神運動だけで事一翼の解決は出来ないのである。いわん やこの精神運動が国民の間にどれだけ徹底しているかということについては、こ の際政府としても考え直さねばならぬことがあるのではないか。(拍手) 例えば国民精神総動員なるものがあります,この国費多端の際に当って、ずいぶ ん巨額の費用を投じているのでありまするが、一体これは何をなしているのであ るかは私どもには分らない。(拍手) (中略) しかるにこの不公平なるところの事実を前におきながら、国民に向って精神運 動をやる。国民に向って緊張せよ、忍耐せよと迫る。国民は緊張するに相違ない。 忍耐するに相違ない。しかしながら国民に向って犠牲を要求するばかりが政府の 能事ではない。 (中略) 畏れ多くも組閣の大命を拝しながら、立憲の大義を 忘れ、国論の趨勢を無視し、国民的基礎を有せず、国政に対して何らの経験もな い。しかもその器にあらざる者を拾い集めて弱体内閣を組織する。国民的支持を 欠いているから、何ごとにつけても自己の所信を断行するところの決心もなけれ ば勇気もない。姑息倫安、一日を弥縫するところの政治をやる。失敗するのは当 り前であります。 (中略) 事変以来我が国民は実に従順であります。言論の圧迫に遭って国民的意思、国 民的感情をも披瀝することが出来ない。ことに近年中央地方を通じて、全国に弥 漫しておりますところのかの官僚政治の弊害には、悲憤の涙を流しながらも黙々 として政府の命令に服従する。政府の統制に服従するのは何がためであるか、一 つは国を愛するためであります。また一つは政府が適当に事ぶスを解決してくれ るであろうこれを期待しているがためである (中略) 繰り返して申しまするが、事変処理はあらゆる政治問題を超越するところの極 めて重大なるところの問題であるのであります。内外の政治はことごとく支那事 変を中心として動いている。現にこの議会に現われて来まするところの予算でも、 増税でも、その他あらゆる法律案はいずれも直接間接に事変と関係をもたないも のはないでありましょう。それ故にその中心でありまするところの支那事変は如 何に処理せらるるものであるか、その処理せらるる内容は如何なるものであるか これが相当に分らない間は、議会の審議も進めることが出来ないのである。私が 政府に向って質問する趣旨はここにあるのでありまするから、総理大臣はただ私 の質問に答えるばかりではなく、なお進んで積極的に支那事変処理に関するとこ ろの一切の抱負経綸を披瀝して、この議会を通して全国民の理解を求められんこ とを要求するのである。 私の質問はこれをもって終りと致します。 ちょっと長すぎましたね。すいません 昔の代議士の演説と言う物は大したものです |
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