13341 | 返信 | ナチス経済政策礼賛について雑感 | URL | 帽子屋 | 2002/03/06 21:08 | |
あのう、MEMO様。 ナチスの経済政策をきちんと理解した上で、ナチスの経済政策を礼賛されておられるのでしょうか? > 実際ナチス政権は、失業の解決にかなりの成果を挙げている。 > ナチスの失業対策や経済政策について、いくつか挙げておきます。 > * 軍拡、徴兵制 > * アウトバーン(自動車専用道路)の建設 > * メフォ手形:ライヒスバンク総裁シャハトが考案した「手形による融資」。期限は5年 メフォ手形とは、<架空会社>が振り出しライヒスバンクの保証と割引を受けられる手形のことで、ナチスドイツはこの手形で国内において物資購入を行い大軍拡が行なわれたことはMEMO様もお出しになった以上ご存じでしょう。軍拡の当否はひとまずさておき、経済方面に絞りますと、期限5年のメフォ手形を渡された人間はどうすればいいのです?MEMO様。5年間現金化されない手形なんですよ?それ。発行する架空会社と財政当局はいいとしても、そんなものを渡されたら会社が破産してしまうのでは?つまり、メフォ手形とは、ライヒスバンクによる無制限の割引(再割引)を大前提とした、信用供与制度以外のなにものでもないのです。その後メフォ手形は国債に置き換わる訳で、メフォ手形がライヒスバンクによる国債大量引き受け<*>の前触れでしかなかったことがお分かりでしょう。しかもドイツは、ライヒスバンクの公的振替制が取られていたため、小切手による商取引決済の慣習の普及が遅れました。そのため、与信の拡大は、ただちに銀行券の銀行外への流出という形をとり、発券準備(外貨準備)を直撃すると言う特性をもっていた。そのためかかる無謀ともいえるライヒスバンク信用による経済復興をはたした後、ドイツ経済はたちまちマルクの外貨交換性危機=経常収支の大赤字=に立たされることになります。結果、メフォ手形を考案したシャハトは、かかる軍拡に反対して解任。ドイツはファシズム側陣営と戦略物資のバーター取引を展開。それでも間に合わず、このドイツ経済の危機を<生存圏の拡大>という形で、最終的解決が図られることになります。 ナチの経済政策がもたらした生存圏拡大の要請や、メフォ手形を考案し失業対策を行なったはずのシャハトの辞任に触れないのは、どういうおつもりなのでしょう? *公開市場操作は1930年代に先進国で一般化するのですが、案外、シャハト就任のときは未整備で回路が開かれておらず、割引市場に接続する形で公定歩合操作一本で行なおうとしたのかもしれません(この辺、推測でしかありません)。 > * (道路建設やガラス工業等における)機械化の禁止 > * 勤労奉仕制度の義務化:特に、農村で食料増産に貢献した 失業対策とはいえこんな政策をとれば、投資だけ増えても著しく国内の生産性を損ない、経常収支の赤字を招くに決まっているじゃないですか。何を誉めたいのかさっぱり分かりません。大躍進の時の農村における製鉄所建設を誉めているようなものです。 > 失業者は、これらの政策と一般的な景気回復と各種官庁の膨張などによって急激に減少し、1933年初めの601万人から1935年1月の297万人、1939年1月の30万人となって、第二次大戦の直前には、ほとんど絶無の状態となった。 > (世界の歴史15 ファシズムと第二次大戦 中公文庫 1975年 p361) ナチス・シャハトも日本・高橋是清もそうですが、この時期<財政家>が大きな脚光をあびます。この時期は、国際金本位制=自己調整市場という<対外均衡>重視から、管理通貨制=国家の市場管理という<国内均衡>重視へ、経済体制だけでなく国家体制をふくめた大転換が行なわれた時期ですから、この転換を主導して国内の政治的均衡重視<ここでは失業対策>を推し進めた試みはそれなりに評価できると思います。しかしその結果まで考えていますか?ライヒスバンク・日銀とも大量の通貨増発により、失業を根絶しましたが、極端な<国内均衡>重視で<対外均衡>無視をおこなったため、対外為替レートは暴落の一途をたどります。金本位時1ドル=2円だった日本円は、高橋財政下1ドル6円台にまで暴落することになります(うろ覚えです)。今で言えば、1ドル360円にまで暴落するわけです。こんな政策をマジでお許しになられるのですかMEMO様?私には到底許すことはできませんがね。中央銀行引き受けによる資金調達と内需拡大(=為替レート下落)であらゆる無茶苦茶をやれば、普通どう転んでも失業がなくなるのは当然だと思いますよ。今の日本でも無論可能でしょう。国債利払い停止宣言をしても所詮国内の所得分配の問題だけだし。まあ、日本は今の国債発行高を償還することは不可能ですので、いずれインフレと対外為替レートの暴落を招きますから、失業がなくなるかはさておき、我々の未来でもあるわけですが。 > ただし。ナチス政権下での失業解決に喜んで、軍拡や差別政策を黙認したドイツ「国民」が、結果どういう報いを受けたかは銘記しておきましょう。苛烈な戦禍、近隣諸国の不信感、ユダヤ人の流出による文化的損失・・・ どうしてもなんか<とってつけた>ような感じが拭えないのですがね。 何を言うために投稿されたのかすら、この一文で更に分かんなくなるのですが。ナチスの経済政策は、無謀にふさわしく失業を根絶したのでドイツ国民の支持はえられた、といった話でしたよね。 妄言多謝 |
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