14205 返信 Re:ペルー大使公邸占拠事件に関して URL にゃにゃにゃにゃにゃ 2002/05/16 23:03
> あのペルー大使公邸占拠事件のことです。当時のフジモリ政権は、日本政府に無断で、大使公邸に武力突入して、犯人全員を射殺しました。これは、れっきとしたウィーン条約違反なのですが、なんと日本側はペルーを非難するどころか、国会で社民党共産党まで含む全会一致でフジモリに感謝決議をする始末。当然、「使節団の長が同意した」こととなって、ウィーン条約違反とはなりませんでした。
>
> このことを考えれば、ペルーの行為は感謝決議ものなのに中国の行為は主権侵害だ、なんて、説得力はなきに等しいというものです。
>

話題は変わりますが、このペルーの事件に関する山崎カヲル氏の投稿をamlより転載します。

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Subject: [aml 27867] MRTAの死者たちをめぐる処刑疑惑
From: ykaoru@tku.ac.jp (Kaoru Yamasaki)
Date: Thu, 16 May 2002 16:46:34 +0900
Seq: 27867

 1997年4月22日に、MRTAが占拠していたリマの日本大使公邸に、軍の特殊部
隊が突入し、14名の「テロリスト」全員を射殺した事件は、いまだに多くの謎に包
まれています。
 現在、このいわゆる「チャビン・デ・ワンタル作戦」で射殺された14名の司法解
剖が終わり、少なくともMRTAメンバーのなんにんかが、投降のあと、あるいは、捕虜
になったあとに、軍の手で処刑されたことははっきりしています。当時ペルーの大統
領だったアルベルト・フジモリ氏は、憲法によって三軍の最高司令官でしたので、こ
うした違法な殺害に対する責任を問われることになるでしょう。
 MRTAからは、こうした事態についてのコミュニケ等はいまのところ発せられていま
せん。以下はペルーの日刊紙『ラ・レプブリカ』5月15日号の関連記事全文です。

 事件を調査したリチャード・サアベドラ・ルハン検事の報告によると、「チャビン
・デ・ワンタル作戦」を実行したコマンドのなんにんかは、負傷した数人のMRTAメン
バー息の根を、頭部への銃撃によって止めたことを認めている。
 コマンドのひとりは「軍事作戦につきものの、慈悲の一発を与えたのだ」と述べて
いる。とはいえ、郡部はこのような処刑を、犯罪だとして認めないでいる。また、死
を確実にするために、どのテロリストを銃撃したのかも、明らかにしていない。
 公共省法医学研究所とペルー法人類学研究所が行なった、死体の鑑定と弾道試験と
は、8名のテロリストが頭部に銃撃を受けていたことを認定した。弾道等の特徴から
して、犠牲者たちは戦闘中に銃弾を受けたのでないことを示している。
 サアベドラ・ルハン検事と、反汚職警察の殺人課のベテラン警官グループは、14
ヶ月にわたって調査を展開してきたが、その結論は、3名のMRTAメンバーが降伏のあ
とに処刑されたことを証明した。また、他の5名のテロリストも同様な仕方で殺害さ
れた形跡がある。
 司法調査は目下のところ、テロリストたちの生存者を残すなという命令が、作戦の
まえに出されたのか、作戦の最中に出されたのかを確定しようとしている。つまり、
それがあらかじめ熟考された行動なにか、人質救出行動における熱狂の産物なのか、
ということである。
 違法な殺害の形跡がもっとも濃いケースは、「ティト」として知られるエドゥアル
ド・クルス・サンチェスの場合である。日本大使館の書記官だった小倉英敬は、公邸
のそとで生きているティトを見た、と公式に声明している。彼の話は調査によって裏
づけられた。ティトの死体は公邸の裏庭で見つかった。近くにはコマンドが公邸に突
入したさいに使われたトンネルのひとつがあり、ティトは頭部への一発しか弾丸を受
けていない。サアベドラ検事によると、こうした事実からして、ティトが大使公邸か
ら生きたままで連れ出されたことを示している。さらに、他のテロリストたちも、少
なくとも30発の弾を撃ち込まれていた。
 検事の見解によると、公式見解では戦闘は大使公邸の内部だけで展開されたのに、
なぜティトがトンネル近くのそとに出ていたのかを、「チャビン・デ・ワンタル作戦
」の責任者たちも、コマンドたちも、だれひとり説明できないでいる。どのようにし
て、そこまでたどり着いたのであろうか。
 調査は困難かつ矛盾した状況のなかでなされたといわれる。対テロリズム国家本部
も、現在の全国情報部(CNI)も、作戦のさいのラジオ録音を当局に提出するのを拒
んでいる。作戦開始とともに録音をやめたので、録音そのものがないともいわれてい
る。さらに、大使公邸の盗聴に従事していた人員の身元も公表されていない。
 同様に、救出活動を録画したビデオテープも提出されていない。録画を担当したコ
マンドによれば、テープはすべてロベルト・ウアマン・アスクラ大佐が持っていて、
彼が隠しているそうである。
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Kaoru Yamasaki(山崎カヲル)
Tokyo Keizai University
ykaoru@tku.ac.jp
http://clinamen.ff.tku.ac.jp

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http://www1.jca.apc.org/aml/200205/27867.html