23248 | 返信 | Re:法律と犯罪雑感 | URL | inti-sol | 2003/09/20 01:51 | |
鈴木様 > 細かいことなのですが、高校生が酒を飲んだところで未成年者飲酒禁止法違反にはなりません。同法が禁じているのは未成年者に酒を飲ませたり売ったりする行為に過ぎず、未成年者の飲酒自体を直接的に禁じているわけではないのです。だから高校時代の飲酒に関してinti-solさんは犯罪を犯していないと思います。 確かに50万円以下の罰金という罰則はおっしゃるとおり「酒を飲ませたり売ったりする行為」に対するものであって、未成年者が飲酒する行為自体に対する罰則ではありませんね。大変失礼いたしました。 ただし、 >高校生が酒を飲んだところで未成年者飲酒禁止法違反にはなりません。 とは言えないと思います。 未成年者飲酒禁止法は、 満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス と定めているので、確かに破ったところで直接の罰則はないにしても、高校生の飲酒が法律違反であることは確かです。 ちなみに、私はいわゆる「コンパ」の場で一定以上の量のお酒を飲んだのは高校生の時でしたが、単にお酒を口にしたのは、小学生の時です。父親に「試しに飲んで見ろ」といわれてね、ビールを一口ほど。世の中にこんなに苦くてまずい飲み物があるのか、と、そのときは思いました。「大人になってもこんなまずいもの、絶対に飲まないもん」と言い張った私は、それから10年と経たないうちに前言を翻してしまったわけですが、してみると私はともかくとして私の父親は間違いなく、50万円以下の罰金に相当する「犯罪者」であったわけです。 > 「『犯罪者』呼ばわりするのはおかしい」という主張はしょせん主観的なものでしかないでしょう。 論理的にはそうです。しかし現実にはどうでしょう。 例えば、自動車を運転していて、制限速度40km/hの道路で50km/hを出したら、「スピード違反」という罪を犯していることになります。 がしかし、現実にはそれを違法だと思っている人はほとんどいない、どころか40km/hの道路で50km/hでは遅すぎる、と思う人の方が多いくらいじゃないでしょうか。 それを「しょせん主観的なものでしかない」と言えるのかというと、なかなか難しいものがあります。 それが20km/hオーバーだとどうか、30km/hオーバーだと、・・・・・・・・、50km/hオーバーまで行けば、それはスピード違反であるとまず大半の人が考えるでしょうが、それでも、それを「犯罪」であると考える人は(事故を起こすような結果に至った場合は別にして)あまりいないでしょう。 > 犯罪はあくまでも犯罪でしかなく、「犯罪者呼ばわり」する行為と法律は無関係です。悪法といえども違反すれば犯罪になるわけで、法違反こそが犯罪なわけです。だから、「不法滞在は犯罪たりえない」といった主張は「犯罪」の意味もわからない妄説に過ぎません。 > もちろん、捕まる確率がきわめて低く捕まったところでどうということはない悪法を犯すことに関しては私も躊躇するものではありませんし、勇気ある違法行為が悪法を改正する原動力になってきた面は否定できないと思います。 「不法滞在」で逮捕される確率も、そう高いものではないでしょう。また、その罰則は、法律上は最高刑が懲役3年となっているものの、実際に不法滞在だけの「容疑」で懲役刑を受けた人など聞いたことがありません。だいたい、出入国管理及び難民認定法という法律自体が、タテマエでは不法滞在の罰則を最高で3年以下の懲役としているものの、実際には第24条で単なる強制退去で済ませる前提に立っています。 さて、先の投稿で、かの堀江謙一氏(先の投稿では誤って堀江健一氏となっていました。お詫びして訂正いたします)のヨットによる太平洋単独横断の偉業が、パスポートを持たない日本からの密出国+米国への密入国であったことに触れました。 実際問題、堀江氏が太平洋横断に成功すると、海上保安庁大阪保安監部は新聞に対して「アメリカからはすぐ不法入国者として強制送還され、日本に着くとすぐに逮捕されることになる」(本多勝一「冒険と日本人」朝日文庫P12)というコメントを発しています。 この時点で、海上保安庁は本気で堀江氏が帰国したら逮捕するつもりであったことは確実です。堀江謙一氏のわずか3ヶ月前、ドラム缶製の筏で太平洋横断を目指した金子健太郎氏は、出航後まもなく海上保安庁の巡視船に発見され、「出入国管理令違反」で検挙され冒険は失敗に終わったのです。 皮肉にも、堀江謙一氏は当の米国から「不法入国者として強制送還」されるどころか偉大な冒険を成し遂げた英雄として大歓迎されたため、「日本に帰ってきたら逮捕」も沙汰や身になってしまいました。 植村直己氏は、著書「青春を山に賭けて」によると、米国で不法滞在して農園で働いていて摘発されたことがあるのですが、取調官が同情的で無罪放免にしてくれたそうです。 さて、堀江謙一氏や金子健太郎氏、植村直己氏は、その当時の日本や米国の法律に反していたことは事実ですが、彼らを「犯罪者」と呼ぶのが適切かというと、とてもそうは思えません。 |
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