24736 | 返信 | Re:侵略のシナリオ | URL | トルティーヤ | 2003/12/14 15:10 | |
>小林哲夫さん ◇またまた仕事が立て込んでレスが大幅に遅れて申し訳ございません。 こう何度も繰り返すとお詫びの言葉も見つかりません。 どうか、お許しください。 > 「シナリオは既に述べた。」と言われたのでもう一度読み直しました。 > > 軍事的な対処の仕方の解説が書いてある部分と読んでいたのですが、下の部分がそれにあたるのでしょうか? > > >『南侵時に多国籍軍の後背地・補給基地となる日本の戦略拠点(原発・空港・港湾・都市・工業地帯等)にNBC装備の弾道弾をローンチして破壊、若しくは特殊部隊を海中から潜入させた破壊工作か、水中破壊による海峡封鎖等で後方攪乱を行うものと考えられます。(トルティーヤさん)』 > > もしここの部分がトルティーヤさんが考える「北朝鮮が日本を武力で攻撃するシナリオ」ということでしたら、ここのところをもう少し詳しく教えていただけないでしょうか? > > つまりこのシナリオを分解すると > 1、 北朝鮮が南北統一を図る為に南に侵入する。 > 2、 それに対して国連の多国籍軍が半島で武力介入する。 > 3、 日本がその多国籍軍の後背地、補給基地になる。 > 4、 北朝鮮は後方撹乱の為に日本のその戦略拠点の破壊工作を行う。 > ということでよろしいでしょうか? ◇そうですね。 > トルティーヤさんは > 『大悌団の渡洋侵攻による日本本土大規模着上陸作戦を行うだけの余力は無い。(トルティーヤさん)』 > 『日本占領という戦略を採る余裕がありません。(トルティーヤさん)』とも言っていますから、トルティーヤさんにとってこれが最もありうべきと考えられるケースなのだろうと想像します。 > > このシナリオを検討すると、後方撹乱が目的なら日本にある米軍基地が最適で、日本の港湾施設とか工業地帯などへと拡大解釈するのは奇妙だと思いました。 ◇いえ、自衛隊基地や在日米軍基地にはSAM(地対空ミサイル)ペトリオットPAC-2が布陣しているので効果的な弾道弾攻撃に支障を来たす可能性があると予想したからです。PAC-2の弾道弾迎撃能力は極めて限定的ながらもバカには出来ません。この場合は基地を直接攻撃するよりもデポ(補給基地や弾薬庫)、そして工業地帯や補助基地になる空港や港湾を叩いた方が自衛隊や在日米軍の継戦能力を効果的に削ぐ事が出来ます。 その後方支援能力はどれくらいでしょうか?例えば海軍が管理する1107万バーレルの燃料貯蔵施設(横浜570万バーレル・米軍第2位、佐世保530万バーレル・米軍第3位、八戸7万バーレル)は世界で最大最強の第7艦隊を6ヶ月以上も戦闘行動させるのに充分な量と言われます。弾薬庫も世界最大の米軍弾薬庫補給施設が、広島の秋月・広・川上 の3ヶ所にあります。広島県内の陸軍弾薬庫は秋月(江田島町,4万9000トン)、広(呉市,1万9000トン)、川上(東広島市,5万1000トン)で合計11万9000トンあります。通常弾薬専用は川上弾薬庫のみで、あとの2カ所は必要に応じて核兵器、化学兵器の貯蔵能力を備えていると見られます。佐世保の海軍・海兵隊の弾薬庫は「ハワイから西で最大の陸上弾薬庫」と表記されており、空軍(沖繩・嘉手納)の弾薬庫は米軍最大の弾薬管理部隊である第400弾薬整備中隊が管理しています。横須賀・佐世保の民間委託による艦船修理能力も、流石に原子力エンジンは扱っていませんが、メインランドの海軍工廠より高い技術力と作業員の優れた技能があるとの非常に高い評価を得ています。つまり日本の高い原油精製力や基礎工業力等のバックアップがあるからこそ出来る芸当です。 特に嘉手納の米空軍第505燃料補給大隊が管理する燃料タンクは10万バレルあります。これはF15戦闘機2,030機分を満タンにする量です。各々のタンクのボリュームにはばらつきがありますが、燃料補給大隊は6つのタンクファームに、合わせて19基の貯蔵タンクを持っています。 この「6ヶ月」という言葉が非常に重要なポイントです。よく覚えておいてください。この「6ヶ月」というのは、実は戦争に必要なロジスティクスを準備して戦力として投入するまでの時間なのです。何故6ヶ月かと言うと、戦争に最低限必要なだけの武器・弾薬・燃料・食糧を確保して米本土から戦地に送るまでの最短時間が6ヶ月であるからです。もしも朝鮮半島で有事があった際にこれらが無いと在日米軍は1週間もしない内に弾薬・燃料・食糧を消耗し、戦闘不能に陥ってしまいます。腹ぺこでは兵隊さんも戦えませんし、どんなに高性能の戦車や戦闘機、軍艦も弾薬・燃料無しでは全然動けません。 ですから本国からのロジスティクスが到着するまでの6ヶ月間は日本に備蓄した物資で戦うのが米軍の極東戦略ドクトリンです。飛行機なんていつでも飛んでこられます。よく平和団体が「○○基地には戦闘機が○○機配備されている」という言い方をしますが、私にとってみれば子供っぽい数合わせにしか見えません。肝心なのはロジです。 要約すると、これらの補給基地や、補給基地に物資を供給する工業地域、とりわけコンビナートですね。それと空港や港湾を叩けば在日・在韓米軍は本国からの補給が届く前に失血死してしまうのです。またコンビナートを弾道弾で一気に破壊すれば、極めて猛毒な物質であるシアン化水素やホスゲン、そして特殊高圧ガスであるアルシン、ジシラン、ジボラン、セレン化水素、ホスフィン、モノゲルマン、モノシルマン、等を漏洩し、核爆発だけでなく、化学物質による凄まじい二次被害をもたらす事も出来るのです。勿論コンビナートがやられれば国民の消費生活は破綻し、窮乏生活を余儀なくされます。これだけの攻撃が成功すれば米軍の主力(通常戦力)がようやく朝鮮半島で作戦開始する前に北朝鮮軍が戦略的な決着を付ける事が可能である…というのが北朝鮮が日本のデポやインフラを攻撃するであろう、という予想の根拠なのです。 > しかしそもそも北朝鮮がアメリカ相手の戦争を覚悟するはずが無いと思いますが、ここはどう考えるのですか? > > かつて日本が石油を止められて、やぶれかぶれで真珠湾攻撃という無謀をしたごとく、現在の北朝鮮は昔の日本の状態だという説明をするのでしょうか? ◇現状としては近いと思います。 > でも私は真珠湾について「日本が狂った。」という見方はしません。 > あの戦争を始める時には、一年以内に戦況が優勢な内に「中国について有利な条件」で妥協してやめるつもりだったと思います。 > つまり落とし所を考えての開戦だった、と考えます。 > > 現在の北朝鮮はどの辺りを落とし所にして、開戦するとトルティーヤさんは考えますか? ◇とてもよい質問です。 小林さんが世界情勢についてよく勉強され、一番重要な部分に着目されている証拠です。 太平洋戦争に突入した日本には広い広い太平洋という空間的アブソーバーがありましたから海軍は1年間という時限を設定しました(山本五十六連合艦隊司令長官も近衛文麿総理に「半年か一年は暴れてご覧に入れますが、しかしそれ以降は全く確信が持てません」と対米戦争に反対の意向を会談で示したほどである)。しかし非常に強力な在韓米軍や在日米軍をすぐ背後に抱える北朝鮮にとっては1年間という悠長な設定が出来ません。どんなに作戦が成功し、どんなに多くの時間をうまく稼いでも6ヶ月程度が限界です。この間に朝鮮半島全域を占領しないとロジと戦力に劣る北朝鮮に勝利はあり得ないからです。 もし6ヶ月を超える場合はゲリラ戦による出血と消耗を米軍に強要し、一応民主主義国であり、兵士の犠牲を極端に嫌う米国世論に反戦・厭戦意識を喚起させ、政権支持率を低下させるしか手は無いでしょう。 これは戦時中の日本軍が採用しましたが、報道管制が皆無に等しかったヴェトナム戦争とは違い厳しい報道管制が敷かれていた為に、国民には殆ど米軍の犠牲は伝えられませんでした。米軍に出血と消耗を強要して米国国内で激しい反戦運動を起こし、米軍撤退の機運をうかがう作戦は一応合理的ではあったのですが、鉄壁の報道管制の前には失敗に終わりました。 |
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