29516	返信	加害の歴史を記録する　～ドイツ・記憶の保存と「過去の克服」～	URL	にゃにゃにゃにゃにゃ	2004/09/17 20:51
加害の歴史を記録する　～ドイツ・記憶の保存と「過去の克服」～日　時：２００４年１０月９日（土）13:30～17:00 場　所：明治大学・リバティ・タワー　１１６３教室明治大学・駿河台キャンパス内、JRお茶の水駅より徒歩３分千代田区神田駿河台1-1（TEL 03-3296-4545）参加費：１０００円第1部　特別講演トーマス・ルッツ　　「テロルの地勢」財団・記念館部門室長第2部　日本とドイツの対話パネリスト石田勇治(東京大学助教員)・・・・ドイツが照らし出す　日本の現在内海愛子(恵泉女学園大学教員)・・・・日本の資料公開とアジア金富子(植民地朝鮮・ジェンダー史研究者)・・・・加害の記録・被害の記録池田恵理子(女たちの戦争と平和資料館建設運営委員長)・・・・「慰安婦」被害者と記録の保存運動　トーマス・ルッツさんはこの20年間、ドイツにあるナチズムの加害の記録を保存するすべての記念館・資料館の建設運営に関わってきました。　日本人にとって、「戦争の記憶」の大半は被害体験で占められており、加害の事実に向き合った戦争博物館・平和記念館は、極めて稀です。日本軍による性暴力の被害者と加害側の記録を保存・公開する「女たちの戦争と平和資料館」の建設を考えるとき、戦後ドイツが行ってきた「過去の克服」の努力は一つのモデルであり、「アクティブ・ミュージアム」運動には大いに励まされてきました。　ルッツさんにドイツでの記念館建設の動きとその社会的役割を話していただき、戦争の被害と加害の記憶を共有する道を模索します。主催：　女たちの戦争と平和人権基金協賛：　教科書・歴史教育学会　　協力：　国際交流基金問合せ：女たちの戦争と平和人権基金 TEL&FAX 03-3369-6866　email: info@wfphr.org 　URL：http://www.wfphr.org/ 「女たちの戦争と平和資料館」ＮＥＷＳ　２００４年９月１０日号外版から・・ ◆トーマス・ルッツさんのプロフィール　トーマス・ルッツさんが今の仕事に携わるようになったのは、1984年に兵役拒否者としてアウシュヴィッツで記念館奉仕義務を終え、平和奉仕団体「『償いの徴』活動」の記念館部門を任されてから。以来20年間、ドイツ唯一の記念館相談役として、ナチスの犯罪を記録に残していく国内のすべての記念館建設・運営に関わってきました。ナチ秘密警察跡の保存運動「アクティブミュージアム」にも当初から関与。　1993年、記念館部門がテロルの地勢財団に移ってからは、これまでの蓄積を世界各地に伝える仕事が加わりました。8大強制収容所記念館協議会事務局長も務めています。 ◆ルッツさんからのメッセージ　1933～1945年にナチ支配下で行なわれた犯罪は世界史上類例のないものでした。 60年後の今日、ドイツではかつてのナチスの犯行現場約100ヶ所に記念館を設け、あのような犯罪が実際に行なわれたことを記録に留めています。記念館では犠牲者を追悼し、当時ドイツ社会から排斥され迫害され殺害された人々が社会の一員として再び受け入れられるよう努め、この犯罪の構造と加害者の責任を問い糾してきました。記念館はこうした活動を通じて、歴史の全側面に関して民主的で開かれた世論を形成することに寄与しています。これら記念館のコーディネートが私の仕事です。　第二次世界大戦は世界共通の歴史であり、各地で異なる展開を辿ったとはいえ、互いに関連しあっています。ですから今回、女たちの戦争と平和人権基金の招きで日本の社会と歴史をよりよく知る機会を得るのは嬉しいことです。私の経験では、国際対話は他国の歴史と現在への理解を深めるばかりでなく、自国社会の営みを評価判断するためのこのうえない助けになります。互いに学びつつ、今後の交流について皆さんと議論していきたいと思います。（梶村道子さんによる要約の抜粋） ◆アクティブ・ミュージアム運動と公開学習会　「加害の中枢だった場所は、単なる記念展示の場だけでなく、個人がナチズムの歴史を自ら学び、考え、行動できる市民に変わっていくエンパワーメントの場であるべきだ」と展開されてきたドイツのアクティブ・ミュージアム運動。建設委員会では、この運動に共感し励まされて、日本と海外の戦争博物館を検証し「国家と戦争」を考える公開学習会を4回開いてきました。 ① 4月3日「加害の歴史を忘れないドイツ～ベルリンに暮して見えてきたこと」梶村道子さん（ベルリン女の会・翻訳者） ② 6月24日「〈歴史を逆なでする〉博物館のこれまでとこれから」君塚仁彦さん（東京学芸大学） ③ 7月24日「『戦争のための戦争記念館』と『平和のための戦争記念館』」南守夫さん（愛知教育大学） ④ 8月31日「ナチズムが残した『負の遺産』と戦後ドイツの模索」石田勇治さん（東京大学）　こうした学習を通して、加害の歴史に目をつむる日本の戦争博物館の現状と,日本の戦後の欠落部分が明らかになってきました。私たちの資料館建設運動は、日本でなおざりにされてきた「過去の克服」に市民が取り組む試みの一つです。学習会の充実した講演の概要は資料館ニュースをご覧ください。やがて採録をブックレットにする予定です。