30976 | 返信 | フジモリと日系人の二重国籍 | URL | inti-sol | 2004/11/20 01:05 | |
山田さん 横レスになりますが > フジモリ大統領はペルーと日本国の国籍を持っています。この事実は価値観の違う二人でも一致した意見でありますよね。 > 日本は二重国籍を認めていないというのは正確には違います。 > ペルーとの間では二重国籍を認めているのです。 ペルーという特定の国家についてだけ二重国籍を認めている、などということはありません。日本は、建前としては二重国籍を認めていませんが、現実には二重国籍者は掃いて捨てるほどいます。必ずしもペルー人とは限りませんが、中南米の日系人に多いことは事実です。私の知人にも二重国籍者どころか、三重国籍者までいますし、日本に帰化して日本国籍を取得したにもかかわらず、実は母国の国籍も残している、という方もいます。ペルー人ではなく、それ以外の国(アルゼンチン・パラグアイ・コロンビア)との重国籍です。 なぜそういうことになるかというと、日本政府には日本国籍のことしか権力が及ばないからです。 二重国籍者や帰化による日本国籍取得者は、役所で日本国籍選択の宣言(国籍選択届けの提出)をしなければならないのですが、日本の市区町村役場で国籍選択届けを提出したところで、それは日本の行政機構の中での話であって、日本のナントカ市役所が米国政府やイタリア政府やロシア政府やペルー政府や中国政府や・・・・・・・に代わって、その人の元の国籍を剥奪できるわけなどありません。 現に、国籍法は第16条で、「選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。」として、宣言と実際の外国籍の喪失は別物という前提に立っています。 しかも、ことをフジモリに限定すると、もっとすごいことになります。純然たる日本の国内法のタテマエだけでいうと、フジモリは「日本国籍しかない人」とも言えるのです。なぜか。国籍法は、その改正時点(1985年1月1日)で二重国籍を持っていた人について、国籍選択の宣言をしない人は日本国籍を選択したものと見なす、という経過措置を設けています。フジモリは、もちろん1985年以前の生まれで、かつ国籍選択届など提出していないことは明らかで、従って、論理的にはフジモリは「日本国籍を選択した」と見なされるわけです。この経過措置は、実質的にはアメリカ大陸の日系人の二重国籍を容認するためにあるような規定だと思われます。 ただし、同じ国籍法の第16条第2項は、 「法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。」 としており、この文面から見るとフジモリの日本国籍は剥奪されるべきだった、と言うべきでしょう。何しろ国家元首ですから、その国の国籍がなければ元首になどなれるわけがないし、どう考えたってペルーの国家元首に就任することは「日本の国籍を選択した趣旨に著しく反する」ことは明らかですから。 > ペルーでは日系人が政府の高官になったり、大統領になったりしています。 フジモリは、大統領であった当時は、日本国籍はない、ということになっていました、少なくとも表向きは。また、法的に言えば、ペルーの側の国内法は二重国籍を容認していますから、仮に日本国籍も有することが事前に分かっていたとしても、大統領になることに何の問題もありませんでした。(ただ、それは法的な話で、政治的には話は別です。つまり、フジモリには日本国籍があると知れ渡っていたら、立候補自体は可能でも、果たして大統領に当選可能だったか、という問題です) フジモリに日本国籍があることが表沙汰になったのは、大統領を辞任して日本に亡命したときのことです。 なお、日系人が大統領はともかく、政府の高官になった例はペルー以外にも掃いて捨てるほどあります。(日本国籍の有無は知りませんが) 日本政府はフジモリが大統領に当選した時点で過去の記録を調べ、フジモリが出生時に国籍留保届を大使館に出していることをつかんでいました。最終的に、その後日本国籍を離脱する手続きを行っていないかどうかは、亡命してきたときに調べたそうですが、一般的には出生時に国籍留保している日系人がその後国籍離脱の手続きをとるのは希なことです。 |
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