32662 | 返信 | Re:「正統の假名遣ひ」の幻想 #2/3 | URL | 渡辺 | 2005/02/02 11:02 | |
「正統の假名遣ひ」の幻想2 -- 「正統の假名遣ひ」の幻想1の続きです。すべての投稿は下記 urlで見ることができます。 http://otd2.jbbs.livedoor.jp/mondou/bbs_thread?base=32661&range=1 -- 「歴史的仮名遣い」とは、どういうもなのか専門家の意見を紹介しましょう。 「日本文法用語辞典」(三省堂,1990年)P290から引用(元の文章には改行はないが、分かりやすくするために付加) ------------------- 歴史的仮名遣い <一部省略> *歴史的仮名遣いは、大きく国語仮名遣いと字音仮名遣いに分けることが行われていた。 国語仮名遣いは、和語の仮名遣いについて、平安時代前期の仮名の用い方を基準として決められたものである。 平安時代以降のものを見ると、江戸時代を含めて、必ずしもこのような仮名遣いを用いてきたわけではない。 字音仮名遣いは、漢字の字音を書き表す仮名遣いであるが、根拠を古典に求めたわけではない。このほうは、『韻鏡』という古い時代の漢字音の一覧表を基に、理論的に整えたものである。 *歴史的仮名遣いは、明治維新の復古主義に合わせ、明治政府の採用するところとなった。そのため、公用文や義務教育に採用されて一般社会に普及し、一九四六年(昭和二一)に「現代かなづかい」が内閣告示となるまで、広く用いられていた。現在でも、和歌や俳句に用いられ、百人一首なども歴史的仮名遣いで書かれたものが普及している。 <以下省略> ------------------ すなわち、「正統の假名遣ひ」と称しているものは、明治政府が「明治維新の復古主義に合わせ」採用して普及した、擬似的に歴史的な擬古的仮名遣いなのです。 歴史的仮名遣いで書かれた文献が読めるのはいいし、難しいことではありません。しかし、歴史的仮名遣いで日常の文章を書かなければいけないとか、歴史的仮名遣いを使用しないと文化の継承ができないなどと言うのは、おかしな話です。 いずれにしろ、「明治維新の復古主義」が日本の伝統だとか文化だとか言われたら困ります。 ところで、戦前の文献を読むと、濁音は使用してよいのか、「あらむ」か「あらん」か、「いへども」か「いえども」か、など統一されていないようですが「正統の假名遣ひ」ではどうなっているのでしょうか。 |
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