35184 返信 「無宗教」はそんなにいいことか。 URL 八木沢 2005/05/19 16:37

 戦没者を追悼する施設として靖国神社は不適当だから千鳥ケ淵戦没者墓苑をその代替施設として活用せよ、と主張する者がいる。千鳥ケ淵戦没者墓苑なるものがどういうものなのか、果たしてちゃんと理解した上での発言なのであろうか。2003年2月9日付『朝日新聞』に「遺骨の扱い違法で残酷」として千鳥ケ淵戦没者墓苑の実態を秋山格之助氏(戦没者追悼を正す全国連絡会副会長)が明らかにしている。無縁仏33万余柱の遺骨をわずか六畳二間(!)の納骨室に収めるために、収集現地で一度火葬されたそれらを再度高圧ガスを使って原形をとどめなくなるほど焼かれ、微塵と化したものを「灰」として廃棄し、数十分の一に圧縮するのだそうだ。東京都の条例では無縁の遺骨は一体ごとに骨壷などに収めて葬るように定められているものの、それを無視して処理されているのだ。そもそも「墓苑」と名乗っているものの、千鳥ケ淵戦没者墓苑は法律で定められた墓地ではない。二重の違法が恒常的に続けられているのが現実である。

 「無宗教の戦没者追悼施設」を作るということは、単に役立たずの新しい役所を一つ増やすだけだということは千鳥ケ淵戦没者墓苑の例からも明らかであるが、ましてやその千鳥ケ淵戦没者墓苑自体を改組拡大して靖国神社に変わる追悼施設にせよなどという案は現実を何も知らないものの空論としかいいようがない。税金を浪費するだけの毒にも薬にもならない役所が一つ増えるだけなら、実はまだいいほうだ。「無宗教」の建前は、中立に見せかけて実は国民の戦没者への濃厚な思いを合法的に排除するための方便に過ぎないのだということに、それを主張する者どもの思想的背景を含めて警戒し続けなければならないだろう。