35729 | 返信 | 日本語の起源についての考察1 | URL | 山 | 2005/06/27 00:01 | |
小林 哲夫さん こんにちは > しかしながら日本語は縄文時代に出来上がっていたと思います。 > 弥生文化は縄文人を圧倒したが、しかし縄文人を征服したのではないという考えです。つまり日本語の基本は縄文時代のものが残ったという考えです。 > これは日本語と朝鮮語の違いの程度から考えて、1万年程度の独自の発達の時期があったと推定できます。 日本語の起源については難しい問題ですが、少し調べてみました。 日本語がアルタイ系言語と関わりがあるのではという考えは19世紀からありました。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%82%A4%E8%AA%9E%E6%97%8F 引用開始 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アルタイ諸語(あるたいしょご)は、言語の言語学の分類単位の一種で、主に北アジアの民族によって話される諸言語のことである。 アルタイ諸語とされる言語グループには以下の3つがある。 ツングース諸語(満州語など) モンゴル諸語(モンゴル語、ブリヤート語など) テュルク諸語(トルコ語、ウズベク語、カザフ語など) これら3つの言語グループは 母音調和を行うこと。 膠着語であること。 原則としてSOV(主語 - 目的語 - 述語)の語順をとること。 語頭にRが立つことを嫌い、固有語に語頭Rの単語をほとんど持たないこと(例;ロシア人:Rus>Oros) などの共通の特徴をもつ。 (中略) 母音調和以外の特徴を共通にする日本語および朝鮮語をアルタイ語族(アルタイ諸語)に加える見解もあるが、近縁関係は証明されていない。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 引用終了 母音調和(ぼいんちょうわ)とは、単語の中に現れる母音の組み合わせが一定になる現象のことで、現在の日本語にはないのですが、上代日本語にはあったという有力な 説があります。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E 引用開始 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 橋本進吉が再発見した上代特殊仮名遣から推測して、多くの学者は、奈良時代以前の日本語は8母音であった、とする(8母音を初めて発見したのは、本居宣長の弟子石塚龍麿であった)。『記紀』や『万葉集』などの表記を調べると、イ・エ・オにはそれぞれ甲類・乙類の発音があったようで、この8母音は平安時代には消失した。しかし、日本語の語彙における母音の出現の仕方は、ウラル語族・アルタイ語族の母音調和の法則によく合致するとされる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 引用終了 以上のようなことから私は日本語がアルタイ系言語と関わりがあると考えます。 一方で日本語にはアルタイ起源では説明のつかないことが多いため、 オーストロネシア語族との関係があるとの説が出されました。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90 「日本語と南島諸語が系統関係にある可能性を指摘したのは、ロシアの言語学者、E.ポリワーノフである。彼は、日本語の接頭辞が南島諸語起源と考えられる事、日本語のピッチ(高低)アクセントや、重複形による強調表現などがフィリピンのタガログ語やメラネシア語と類似している事などを指摘し、日本語が南島諸語と系統的な関係にあることの証明を試みた(1915-1925)」 ↓ 「オーストロネシア比較言語学は、1938年、ドイツの言語学者、O. デンプウォルフによって基礎が確立された。」 ↓ 「再構された南島祖語と古代日本語の比較を初めて組織的に行ったのは、言語学者の泉井久之助(1953)である。泉井は約50語を取り上げて音韻対応則の検討を行ったが、日本語と南島語の系統的な関係については懐疑的であり、両者間の類似語の存在は借用によるとみなした」 ↓ 「これらの先駆者の後に、日本語と南島祖語(諸語)との関係を精力的に追及したのが、村山七郎である。彼は元来、アルタイ比較言語学の立場から日本語系統問題を考究していたが、日本語にはアルタイ起源では説明がつかない語彙があまりに多いという見解に達し、南島語と日本語の比較に注目するようになった。村山の見解によれば、いわゆる基礎語彙の約35%、文法要素の一部が南島語起源であり、このような深い浸透は借用と言えるレベルを超えたものであり、日本語はアルタイ系言語と南島語の混合言語であると主張した(1973-1988)。この見解は、南島言語学の専門家、崎山理や言語学者の板橋義三に継承されている」 「この説の最大の争点は、混合言語の存在についてであろう。伝統的な比較言語学は混合言語の存在を認めないが、最近の歴史・比較言語学者、社会言語学者の一部には異なる見解も見られる。この説の可否の判断は、言語学の基礎にも関わる難問である。」 オーストロネシア語族から日本語への借用語例 へそについて http://homepage3.nifty.com/rosetta_stone/wissenshaft/murayama2.html 引用開始 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「へそ」の語源について 死語的な表現になってますが、悔しさを表現する言い回しで、「ホゾをかむ」というのがあります。ホゾというのは、ヘソの古語です。こういう決まった言い回しには、古語が保存されやすいのです。 詳しい説明は省きますが、ハ行,ハヒフヘホのhの子音は、室町時代にはfで、ホゾは、フォゾ(fozo)と発音されていました。更に時代をさかのぼると、fはpと発音され、pozo あるいはpotsoと発音されていたと推定されています。 一方,沖縄の八重山群島方言では, putsuです。この八重山群島というのは,日本語の研究者にとって有名な地域で,非常に古い形の日本語が保存されていると考えられています。語頭音が、 pなのは、実際に古い形が保存されていることを示してます。 恐らく,古代日本語の原型は*putsoで,(*は推定形である事を示す) *putso → 本土: potso → fozo, foso → hozo, hoso → heso → 八重山群島方言: putsu と変化してきたものと推定される。 こうやって現代語の過去の形を溯り、各地の方言も参考にして、考えうる最古の語形を、推定します。 一方,南島語における「ヘソ」を表す単語は以下のようになってます。ネタ本[1]には、もっと長いリストが載っているんですが、われわれになじみのある地域に絞りました。(原文では発音記号で書かれているんですが、web上で表示するにはちょっとメンドウなので、一部の単語は不正確な表記になっています。) 台湾高砂族 puza フィリピン(タガログ語) pusod インドネシア pusat バリ島 puser サモア pute タヒチ pito ハワイ piko フィージー vido 南島祖語(by デンプウォルフ) *putsog リストの地名を見ると、南島語がいかに広い地域に拡散しているか良く分るかと思います。上の地図も参考にしてください。祖語の語尾がgになってる理由は、このリストからは分からないんですが、他の地域の語形も考慮すると、こういう形になるということらしいです。 推定古代日本語 *putsoと、南島祖語 *putsogは、良く似てます。しかも上のリストを見ると、日本に近い所ほど、古代日本語と南島語が似てくるのがなかなか興味深い。このような議論から、「ヘソ」が南島祖語に起源することは、ほぼ確実と思われます ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 引用終了 では、もし日本語がアルタイ系言語と南島語の混合言語であるするならば、縄文人と弥生人の言葉はどのようなものだったと考えれば良いのでしょうか。 日本語の起源についての考察2で展開していきたいと思います。 |
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