[目次]
[次回]
[重要語索引]
第1週: テキストエディタと日本語入力
1. 1 はじめに
1. 2 ウインドウ操作
1. 3 キーボード操作
1. 4 練習問題
1. 5 ファイルとは
1. 6 emacsとは
1. 7 emacsの起動
1. 8 ファイルの作成
1. 9 練習問題
1.10 emacsでの編集
1.11 練習問題
1.12 日本語入力
1.13 ローマ字入力
1.14 かな漢字変換
1.15 練習問題
1.1 はじめに
この授業は,コンピュータを文房具として使いこなせるようになることが目標です.ただし,SFCのコンピュータシステムは,家庭やオフィスで一般的に使われているものとは種類が違います.「こんなことを習っても役に立たない」と思う人がいるかもしれませんが,この授業では特定の機種やソフトの使い方を覚えることが目的ではありません.現在最新の知識でも,みなさんが卒業する頃には(普通は4年後,人によっては5年後,6年後, …)旧式の知識になってしまうからです.それよりも,使い方の背後にある考え方や原理を理解するように努めて下さい.そうすれば,どんな新しい技術が出てきても,楽々と自分のものにすることができるでしょう.
1.2 ウインドウ操作
23ページ
ログインすると,自動的に2つの端末ウインドウが画面に表示されます.左上の方をコンソールウインドウと呼び,ログアウトする時に使用します.
- ウインドウの移動方法
- マウスカーソルを移動したいウインドウのBの部分に持って いって,マウスの真中のボタンを押し,押したまま動かします.
- ボタンを押したままマウスを動かすことをドラッグと言います.
- するとウインドウの外枠に沿った大きさの点線を動かすことができます.
- 好きな位置に動かし,ボタンをはなせば,新しい位置を決定することが できます.

- ウインドウの重なり
- 多くのウインドウをディスプレイに出したり,ウインドウを移動したりすると,
あるウインドウの一部が他のウインドウで隠されてしまいます.
- 隠されてしまったウインドウの全体を見るためには ウインドウを上に持ってこなければなりません.
- 重なりを変える方法
- マウスカーソルを隠されているウインドウのBの部分に持っていき, 左ボタンを押します.
- 上にある邪魔なウインドウを下に持っていく方法もあります.
- マウスカーソルを下に持っていきたいウインドウのBの部分に持っていき,右ボタンを押すと,
そのウインドウを一番下に持っていくことができます.
- ウインドウの大きさを変える
- 大きさを変更したいウインドウのDの部分にマウスカーソルを持っていき,マウスのボタンを押すと,外枠に沿った点線がでるので,ボタンを押したままマウスカーソルで点線を動かします.
- ウインドウの整理
- 画面上にたくさんウインドウがあると,繁雑で使いにくくなります. そこで,当面
必要のないウインドウは,アイコンと呼ばれる小さなマークに 変えることができます.
- ウィンドウのCの部分にマウスカーソルを持っていき,ボタンを押します.
- アイコンに変わったウインドウは,その上でマウスの左のボタンを 押すと,また元の大きさのウインドウに戻ります.
- 新しいウインドウを開く
- ディスプレイの左下にある FvwmButtons と呼ばれるウインドウを使うと,端末ウインドウや,その他の新しいウインドウを開くことができます.

- FvwmButtons の時計の絵にマウスカーソルを持っていき, ボタンを押せば時計のウインドウが表示されます.
- 注意
:
ボタンを押してから,ウィンドウが現れるまでにしばらく時間がかかることがあります.何回もボタンを押すと,その数だけウインドウが開いてしまいますので,注意しましょう.
- 注意
:
FvwmButtons の爆弾の絵のところでボタンを押した後(マウスカーソルがドクロに変わります)
他のウインドウの上でボタンを押すと,そのウインドウを強制終了します.特にコンソールウインドウを終了させると,ログアウトします.通常の方法で終了できなくなった時だけ使って下さい.
1.3 キーボード操作
タイピングの練習をして,手を見ないで打てるようになろう!
1.4 練習問題
- tutttあるいはyumikoを使ってタイピングの練習をしてみましょう.
1.5 ファイルとは
77ページ
計算機の使用でもっとも基本的なのは, 文章を入力して蓄えたり, 蓄えられた文章を読んだりすることです.
- 計算機に蓄えられた文章などのデータの容れ物のことを, ファイル(file)といいます.
- ファイルの中でも,文章の入っているファイルのことを, テキストファイル(text file)といいます.
- ファイルは複数作ることができます. それらを識別するために, それぞれのファイルには必ず名前をつける必要があります.これをファイル名(file name)と言います.
ここで,「データの容れ物」という言葉を使いましたが, これは概念的に考えているだけで,実際にはデータを表す磁気パターンがある規則に従って並んでいるだけです.
- 計算機そのものを ハードウェア(hardware)と呼びます.
- これに対して,計算機の中に電子的に存在するものをソフトウェア(software)と呼びます.
- ソフトウェアには,文章や数値などのデータと, 計算機に仕事のやり方を教えるためのプログラム(program)があります.計算機はプログラムの指示にしたがって処理を行います.
- 同じ一つの計算機で, 複数のソフトウェアを動かすことができ, それによっていろいろな機能を果たすことができます.
- 計算機が万能であるのは, このソフトウェアの自由度にあると言えます.
- いろいろ変更することができ, 柔軟(ソフト)であることからソフトウェアと呼ばれています.
1.6 emacsとは
133ページ
ファイルを作成したり, その内容を変更したりすることは非常に重要です. この作業を行うものをエディタ(editor)といいます.エディタとは編集者という意味もあるように, ファイルの内容の編集を行うものです.特に,テキストの内容を編集するものを テキストエディタ(text editor)といいます. テキストエディタにもいろいろありますが,SFCではemacsというソフトウェアを用います.口で言うときは「イーマックス」と言います.
- emacs は世界的に有名なテキストエディタです. マサチューセッツ工科大学(MIT)の Richard Stallman が開発し, 現在は GNU プロジェクトがフリーソフトウェアとして開発を行っています.
- emacs は英語を基本としていますが, 多言語(ヨーロッパ系の言語,日本語,中国語,ハングルなどなど)が扱えます.
- テキストエディタとワードプロセッサは違うものです.ワードプロセッサは,文字の大きさや書体を変えて見栄えの良い文書を作ることができますが,そのために余分の情報を文章に付け加えます.同じワードプロセッサだけを使っていれば問題はありませんが,別のソフトにその文章を入力すると,余分な情報が邪魔をしてうまく処理できないことがあります.それに対して,テキストエディタは余分な情報をいっさい付け加えないので,これで作った文章は,どのソフトでも同じように使うことができます.
1.7 emacsの起動
emacsを使うためには,まず起動しないといけません. 起動の方法には次の2つがあります.
- FvwmButtonsを用いた起動
- ディスプレイの左下にある FvwmButtons 内の Emacs と書いてある部分に
マウスカーソルを持っていきボタンを押します.
- 注意
:
emacsが起動されるのには少し時間がかかります. この時ボタンを何回も押してしまうと,
たくさんのemacsを起動させることになります.
- コマンドラインからの起動
- 端末ウィンドウで
と入力します. この時に&をつけるのを忘れないようにして下さい.
- &をつけ忘れると,emacs を終了するまで,その端末ウィンドウは使 用できなくなります.
emacsが起動されると,次のようなウィンドウが表示されます.

- Aの部分をメニューバー(menu bar)と呼び,ここをマウスでクリックすることで,いろいろな命令を実行することができます.
- Bの部分をウィンドウ(window)と呼び,ファイルの編集を行ないます.ただし,端末ウィンドウやemacsウィンドウとは別の意味ですので,混乱しないでください.
- Cの部分をモードライン(mode line)と呼び,編集中のファイルの状態を表します.
- Dの部分をエコーエリア(echo area)またはミニバッファ(mini buffer)と呼び,emacsからのメッセージなどが表示されます.
- Eの部分をスクロールバー(scroll bar)と呼び,編集しているデータの別の部分を表示させるときに使います.
1.8 ファイルの作成
147ページ
それでは,実際にファイルを作成してみましょう.
- 最初に,これからファイルを作成することをemacsに知らせます.起動した状態でいきなり文字を入力することもできますが,その状態ではデータを保存するようにはなっていません.普通は次のようにしてファイルを作ることをまず指定します.
- メニューバーのFilesのところでマウスをクリックすると,次のようなメニューが現れます.

- Open File... のところでもう一度マウスをクリックします.
- すると,エコーエリア(画面の最下行)に,
と現れます.これは,何という名前のファイルを編集するか,emacs が尋ねているのです.
- 例えば,testというファイルを作る場合,`test'と入力し, リターンキーを押します.
- すると,モードライン(下から2行目の白黒反転している行)が 以下のように変わります.

このように,今作成している(あるいは編集している) ファイルの名前がモードラインに現れます.
emacsでは,マウスやメニューを使わずに,キーボードだけで命令を出すことができます.これは,emacsが生まれた時代には,まだマウスが使われていなかったからですが,今でもこの方法を覚えておくと便利です.
- Emacsの命令の数は物凄く多いので,メニューに全部入れることはできません.したがって,キーボードでしか使えない命令があります.
- マウスが使えないような状況でもemacsを使うことができます.例えば, 自宅のパソコンでCNSのemacsを起動して使うことができます. これについては第5週で詳しく説明します.
- 慣れてくると,キーボードの方が圧倒的に速く操作できます.
先ほどのメニューの Open File... の項目には,右側に C-x
C-f と書いてありますが,これがキーボードでこの命令を出すやり方を示しています.
- C-x は Control キーを押しながら x のキーを押すことを示しています.口で言うときは「コントロール・エックス」と言います.
- 次に Control キーを押しながら f のキーを押します.
- すると,エコーエリアに Find file:~/ と出るので,後は上と同じです.
これ以後,操作方法は [Files]→[Open File...] C-x
C-f のようにメニューを太字で,キーを青字で書きます.
1.9 練習問題
- emacsを起動してtestというファイルを指定しましょう.
- 何か文章を入力してみましょう. 入力した文章が画面に現れるはずです. 改行するのは,リターンキーです.
間違えた文字を消すのはBackSpaceキーです. 改行しながらどんどん長い文章を打ってみましょう.
- 次の文章を自分なりに変更しながら,入力してみましょう.
My name is Tarou Keio.
I live in near Shonandai.
I like clasical music.
My favorite composer is Brahms.
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1.10 emacsでの編集
136ページ
emacs には文字を入力するためのカーソルがあります.カーソルのある位置の文字は白黒反転して表示されます.マウスカーソルと区別
する時は,テキストカーソルと呼びます.
- 入力された文字は,カーソルの位置に現れ,後の文字はずれていきます.
- どこかの文字をマウスの左ボタンでクリックすると,カーソルはその位置に移動します.
注意
:
真ん中ボタンや右ボタンは押さないでください.押すと別の動作をします.
- カーソルは矢印キーで一文字ずつ移動させることができます.
- 白い部分は,空白文字がある場合と,何も文字がない場合があります.何も文字がないところにカーソルを持っていくことはできません.
以前に書いた文章を変更するためには,次のようにします.
- カーソルを変更したい位置に移動させます.
- BackSpaceキーを押すと,カーソルの前の文字が消えるので,不要な文字を消します.
- 新しい文字を入力すると,カーソルの位置に文字が入力されます.
emacs で文章を書いている時, そのデータはバッファ(buffer)
というところに入っています. 書き終わったら,それをファイルに保存しなければなりません.
保存することを,セーブ(save)するともいいます.保存せずに
emacs を終了させた場合,バッファのデータは消え,ファイルの内容は編集する前の状態のままになります.

- データを保存するためには [Files]→[Save Buffer] C-x
C-s とします.
- まだ保存していない変更点がある場合は,モードラインのファイル名の左に図 のように
`**' が表示されます.

ファイルに保存すると,これが `--' に戻ります.
emacsでの編集が終了し,もう必要なくなった場合には, 終了します.
- emacsを終了するには [Files]→[Exit Emacs] C-x
C-c とします.
- 保存していないファイルがあった場合には, C-x C-c
では
Save file ~t98000aa/test? (y, n, !, ., q, C-r or C-h)
|
のようなメッセージをエコーエリアに出し, ファイルをセーブするかどうか聞いてきます.
[Files]→[Exit Emacs] では,同様の内容のウィンドウが出ます.ここで
y と答えるとファイルをセーブしてから終了します. n と答えると,
Modified buffers exist; exit anyway? (yes or no)
|
と,本当にセーブせずに終了していいかどうか聞いてきますので,yesまたは noを入力します.間違いを防ぐため,単にyやnではだめです.
emacsでは複数のファイルを同時に編集することが可能です.あるファイルを編集中でも,
[Files]→[Open File...] C-x C-f で別のファイルの編集を始めることができます.編集中のファイルの切り換えは,[Buffers]
メニューから選択することで行います.
1.11 練習問題
- 先ほどから作成しているtestファイルの内容をセーブし, emacsを終了してみましょう.
1.12 日本語入力
138ページ
これまで,英語の文章を作成してきましたが, 日本語の文章の作成はどうするのでしょう.
- emacsの日本語入力は,日本語入力モードにして, ローマ字で入力した文字をかなや漢字に変換することによって行ないます.
- 英字や記号などは,今まで通り英字入力モードで入力します.
日本語入力モード(ローマ字かなモード)と英字入力モード (透過モード)の切り替えには,次のようにします.
- C-\で日本語入力モードになります.
- もう一度,C-\を入力すれば英字入力モードになります.
- emacsの左下の表示が, [--]となったり,[あ]となったりするので,今どちらの状態か分かります.
キーボードによっては,`\'(バックスラッシュ)の代わりに `¥'(円記号)というキーがついていることがありますが,コンピュータはこの二つの文字を同じものとして扱います.
1.13 ローマ字入力
日本語入力モードで,英文字を入力すると, ローマ字と解釈されひらがなが縦棒の間に表示されます.
かな漢字変換中の部分を囲む縦棒のことをフェンス(fence)といいます.
- ローマ字は,ヘボン式(shiなど)でも,訓令式(siなど)でもかまいません.
- 「みっつ」などの「っ」は,子音をだぶらせて,mittuと入力します.
- 「ふぁん」などの母音の「ぁ」などは,xaと入力します.
- 「ん」は,n'または,Nと入力します.
- nの後に子音を入力した時にはそれだけで「ん」となります.
1.14 かな漢字変換
フェンス内のひらがなを漢字にするにはかな漢字変換を行います. SFC では Wnn と呼ばれるかな漢字変換方式を使っています.
- ローマ字を入力した後, Space キーを押すと,漢字かな混じりに変換されます.
- 同音異義語や文節の分け方が正しくなかったりしますので, まだフェンスの中にある状態です.
- Return キーを押すと, 変換が確定し,フェンスが消えます.
注意
:
始めて漢字変換を行なう時は, 自分用の辞書を作るか聞いてきます.エコーエリアにいくつかの質問が表示されますが,質問文が表示されずに
(y or n) だけが表示されるというバグがあります.(y or n) が表示されなくなるまで,すべて
`y' と答えて下さい.
正しく変換されなかった場合には,フェンスの中にあるうちに修正します.
- korehanihongonotekisutodesu(これはにほんごのてきすとです) を変換すると
と表示されます.
- 文節はスペースで区切られて表されています.
- 修正したい文節には次のようにして移動します.
- 右矢印キーまたは C-f
で,右の文節に移ります.
- 左矢印キーまたは C-b
で,左の文節に戻ります.
- 残念ながらマウスでは移動できません.
- 文節の分け方が間違っている場合は,次のようにして変更します.
- C-oで,文節の長さを伸ばします.
- C-iで,文節の長さを縮めます.
- 同音異義語の選択が間違っている場合は,次のようにして変更します.
- 下矢印キーまたは Space
キーまたは C-nで次候補.
- 上矢印キーまたは C-pで前候補.
- M-s で候補の一覧.ミニバッファに表示された候補の中から矢印キーまたは
C-f, C-b, C-n,
C-p で正しい候補のところにカーソルを持っていき,Return
キーで選択します.
M-s は次の2つのどちらかの方法で入力します.口で言う時は「メタ・エス」と言います.
- メタキー(キーボードによって違いますが,特別教室では◆キー)を押しながら
's' を押す.
- エスケープキー(Escキー)を押して離し,次に 's' を押す.
1.15 練習問題
- 次の文章をファイルtest2として作成しなさい.
私は昨日病院に行った.
李も桃も桃のうち.
庭には二羽鶏がいる.
貴社の記者が汽車で帰社した.
ここで履物を脱いでください.
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