第6週: ファイルとコマンド (2)

先週に引き続き，ファイルのより高度な操作方法について勉強します．

6. 1 ファイルの保護
6. 2 練習問題
6. 3 プリンタに関するコマンド
6. 4 コマンドの結果をファイルに保存する
6. 5 その他のコマンド
6. 6 宿題

6.1 ファイルの保護

CNS には，学部生，大学院生，卒業生，教職員など6,000人以上のユーザがいます．共同作業では，お互いのファイルが参照できると便利なのですが，もし全く自由に他人のファイルの内容を見たり，変更できたりすると，いろいろな問題が起きる可能性があります．そこで，ファイルやディレクトリごとに，他のユーザからのアクセスを許可したり，禁止したりする機能があります．

アクセス権とは「誰が」，「何を」，「どうする」という組み合わせに対して，許可か禁止かを決めたものです．「誰が」は，次の3種類があります．

ファイルの持ち主のユーザ自身 (u)
グループのメンバ (g)
その他 (o)

グループは CNS の管理者によって決められていて，勝手に変更できません．学生はすべて同じグループのメンバになっています．「どうする」にも3種類があります．

読み出し (r)
書き込み (w)
実行 (x)

実行とは，通常ファイルの場合はコマンドとして使う，ディレクトリの場合は cd コマンドでそこへ移動する，ということです．「誰が」と「どうする」の組合わせは3×3＝9種類あります．「何を」に相当するファイルとディレクトリごとに，この9種類のそれぞれを許可するか，禁止するかが決まっています．現在のアクセス権の状態を調べるには，ls コマンドに -l オプションを付けます．

% ls -l
total 10615
drwx------   4 hattori       512 Apr 15 17:50 Mail
drwxrwxrwx   4 hattori       512 May  6 16:01 Wnn
-rw-r--r--   1 hattori        76 Apr 19 15:10 test
%

ファイルに関するいろいろな情報が表示されますが，一番左側にあるのが，種別とアクセス権です．最初の文字は種別で，普通のファイルは「-」，ディレクトリは「d」です．次の9文字は3文字ずつ組になっていて，それぞれ u, g, o の r, w, x が許可されているかを示します．「r」，「w」，「x」は許可，「-」は禁止を示します．

標準設定では，新しく作ったファイルは rw-r--r--，ディレクトリは rwxr-xr-x になりますので，他のユーザは変更はできませんが，内容を見ることはできます．Mail (メールを保存するディレクトリ)は，プライバシーの問題がありますので，rwx------ になっています．

アクセス権は chmod コマンドで変更することができます．

% ls -l total 10615 drwx------ 4 hattori 512 Apr 15 17:50 open-minded -rw-r--r-- 1 hattori 512 May 6 16:01 secret -rw-r--r-- 1 hattori 76 Apr 19 15:10 shared % chmod go+rwx open-minded % chmod go-r secret % chmod g+w shared % ls -l total 10615 drwxrwxrwx 4 hattori 512 Apr 15 17:50 open-minded -rw------- 1 hattori 512 May 6 16:01 secret -rw-rw-r-- 1 hattori 76 Apr 19 15:10 shared

最初の引数で，どのように変更するかを指定します．「誰が」と「どうする」を「+」または「-」でつなぎます．「+」は許可する，「-」は禁止するということです．
二番目以降の引数で「何を」に当たるファイル，ディレクトリを指定します．

注意: ホームディレクトリそのものを他人から読めないようにすると，設定ファイルが読めなくて動かなくなるソフトがあります．

6.2 練習問題

隣の人と組になり，次のことを試してみなさい．

隣の人の rw------- のテキストファイルの内容を more コマンドで見てみなさい．
隣の人の rw-r--r-- のテキストファイルの内容を mule で編集してみなさい．

6.3 プリンタに関するコマンド

印刷 349 ページ

SFC にはプリンタがたくさんあり，それぞれに名前がついています．プリンタに貼ってある「nps1」とか，「nps2」というのが名前です．印刷するときには，どのプリンタで印刷するかを指定しなければなりません．もし，名前を間違えると，遠く離れた部屋のプリンタで印刷されてしまいますので，気を付けてください．以下の例では「nps15」を指定していますが，これを近くのプリンタの名前に置き換えて実行してください．

プリンタが印刷するデータ形式には何種類かありますが，CNS のプリンタは，すべてポストスクリプト(PostScript)形式のデータを印刷するようになっています．ですから，テキストファイルを印刷するときは，テキストをポストスクリプトに変換しなければなりません．

テキストからポストスクリプトへの変換(a2psコマンド)
% a2ps test (中略) cleanup %%Trailer docsave restore end %
プリンタへの送信 (lprコマンド)
% a2ps test | lpr -Pnps15 %
- 使用するプリンタを -P オプションで指定します． -P の後に続けてプリンタ名を書きます．
- 印刷したいファイル名を引数として指定します．ただし，ファイルの内容はポストスクリプト形式でなくてはいけません．
- テキストファイルを印刷する場合は，ファイル名を指定せず，a2psコマンドの結果を lpr コマンドが受け取って，それをプリンタに送信します．そのためには，上のように二つのコマンドを「|」で区切って書きます．これをパイプ(pipe)と呼びます．

印刷状況の表示 (lpqコマンド)

% lpq -Pnps15
Sat May  8 16:31:32 1999
  Starting job
Rank   Owner      Job  Files                                 Total Size
active s99000xx   402  standard input                        59938 bytes
1st    t99000xx   454  standard input                        49987 bytes
%

プリンタ名を -P オプションで指定します．
プリンタの状態と，印刷の順番待ちの状況が表示されます．
Job 欄の数字(ジョブ番号)は印刷を取り消すときに使います．

印刷の取り消し (lprmコマンド)
% lprm -Pnps15 454 ccz02: dfA454uf085 dequeued ccz02: cfA454uf085 dequeued %
- プリンタ名を -P オプションで指定します．
- 取り消したい印刷要求のジョブ番号を lpq コマンドで調べ，引数で指定します．
- ジョブ番号の代わりに，自分のログイン名を指定すると，自分が出した要求がすべて取り消されます．
- lprm コマンドは，lpr コマンドを実行したのと同じコンピュータで実行しなければなりません．
電子メールの印刷
Mew でメールを読んでいるときに，そのメールを印刷するには，次のようにします．
1. Mew メニューの Misc→Pipe message をクリックします．
2. エコーエリアに Shell command on message: と表示されます．
3. a2ps | lpr -Pnps15 と入力し，Return キーを押します．
4. エコーエリアに (Shell command completed with no output) と表示されます．うまく行かなかった場合には，代わりにエラーメッセージが表示されます．
注意: Misc→Print は，プリンタ名が指定できないので，使用しないでください．
Web ページの印刷
Netscape で表示されている web ページを印刷するには，次のようにします．
1. ツールバーのをクリックします．
2. 次のようなダイアログボックスが出てきます．
3. 次のように設定します．
  
  出力先: プリンター
  
  印刷コマンド: lpr -Pnps15
  
  印刷: 最初のページから
  
  印刷の向き: 縦
  
  印刷: グレイスケール
  
  用紙サイズ: A4
4. 左下にある「印刷」というボタンをクリックします．
5. ダイアログボックスは消えて、まもなく元のウィンドウの左下に「文書: 完了」と表示されます．もし，うまくいかなかった場合は，メッセージウィンドウが表示されるので，それを見て原因を調べます．
κ，ε，ι，οの特別教室で使っている場合は，iplpr コマンドも使えます．これは，psnup コマンドで 1/4 に縮小してから lpr コマンドを起動します．また，プリンタ名を指定しなくても，自動的にその部屋のプリンタで印刷されます．

6.4 コマンドの結果をファイルに保存する

入出力のリダイレクションとパイプ 38 ページ

コマンドを実行したときの出力結果の行き先には2種類ありました．

画面に表示する．
% a2ps test
他のコマンドに渡す．
% a2ps test | lpr -Pnps15

これ以外に，ファイルに保存することもできます．そのためには，コマンドの後に「>」とファイル名を書きます．これをリダイレクション(redirection)と呼びます．

% a2ps test > test.ps

この例では，a2ps の出力結果であるポストスクリプト形式のデータが，test.ps というファイルに書き込まれます．このファイルは次のようにして使うことができます．

% lpr -Pnps15 test.ps

6.5 その他のコマンド

パスワードの変更 (yppasswd コマンド)

% yppasswd
yppasswd:  Changing password for t99000xx
Enter login(NIS) password: 古いパスワードを入力
New password:              新しいパスワードを入力
Re-enter new password:     確認のためもう一度新しいパスワードを入力
NIS passwd/attributes changed on ns0
%

CNS では，パスワードは3か月に一度は変更しなければなりません．
パスワードは他人に見られないよう，画面には表示されません．
変更後，新しいパスワードが有効になるまで少し時間がかかります．

ユーザ情報の表示 (finger コマンド)
% finger t99000xx Login name: t99000xx In real life: Tarou Fujisawa Directory: /home/t99000xx Shell: /bin/tcsh Never logged in. No unread mail No Plan. %
- ログイン名，姓，名のどれかを引数として指定します．
- CNS はユーザ数が多いので，実行に数分かかることがあります．
- 最終ログイン，未読メールに関する情報は，finger コマンドを実行したコンピュータに関するものですから，CNS の他のコンピュータについては分かりません．
- ~/.plan というファイルがあると，その内容が表示されます．留守にする予定などを書いておき，連絡を取りたい人が finger コマンドで確認できるようにします．

マニュアルの表示 (man コマンド)

% man ls
マニュアルを清書中です。しばらくお待ちください... 終了

ユーザコマンド                                              ls(1)

【名前】
     ls - ディレクトリの内容を一覧表示


           (以下略)

マニュアルを見たいコマンド名を引数として指定します．
more コマンドを利用して表示します．
元々はプリンタで印刷するように作られているので，1ページ分ごとに次のようなフッタとヘッダが挿入されます．
SunOS 5.6 1997年5月23日 1 ユーザコマンド ls(1)

6.6 宿題

finger で自分の姓を指定し，SFC に同じ読み方の姓を持つ人が何人いるか調べなさい．名前についても同じようにしなさい． (一画面に収まらないときは，finger Hanako | more としなさい．)
man chmod を実行し，a=rw という指定が何を意味するか調べなさい．(全部理解しようとすると挫折します．必要なところを見つけ，そこだけ読みましょう．)

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出力先:	プリンター
印刷コマンド:	`lpr -Pnps15`
印刷:	最初のページから
印刷の向き:	縦
印刷:	グレイスケール
用紙サイズ:	A4