▼パターン・ランゲージは、建築家クリストファー・アレグザンダーが提唱した知識記述の方法である。アレグザンダーは、町や建物に繰り返し現れる関係性を「パターン」と呼び、それを「ランゲージ」(言語)として記述・共有する方法を考案した。彼が目指したのは、誰もがデザインのプロセスに参加できる方法だった。ある「状況」で生じる「問題」をどのように「解決」すればよいのかという「デザインの知」を記述したパターン・ランゲージは、創造的な未来をつくるための共通言語となる。
プロローグ
▼建築分野で考案され、ソフトウェア分野で大きく発展したパターン・ランゲージは、いま、あらゆる分野の創造を誘発する「クリエイティブ・メディア」として進化する。本書では気鋭の研究者・井庭崇が、中埜博、江渡浩一郎、中西泰人、竹中平蔵、羽生田栄一という各界のフロントランナーを迎え、「パターン・ランゲージ」の可能性について徹底討論。読者のリアリティに新たな知をプラスする!
▼「リアリティ・プラス」(Reality+)
「プラス」は何かを加えるという意味であるが、「リアリティ」には二重の意味を込めてある。第一に、読者がもっている物事の見方のレパートリーに、新しい要素 - アカデミックな分野での最先端の知と方法 - を加えることで、それまで抱いていたものとは異なる現実感(リアリティ)を得られるようになることを支援したい。第二に、本書で提示される知と方法を踏まえた仕組みや道具、制度、組織をつくることで、現実(リアリティ)を変える力をもつことを支援したい。このような思いが、「リアリティ・プラス」という名称に込められている。
序 章 創造的な未来をつくるための言語 - パターン・ランゲージ入門(井庭 崇)
第1章 建築におけるパターン・ランゲージの誕生(中埜 博 × 井庭 崇)
第2章 建築からソフトウェアへ - パターン・ランゲージの展開(江渡浩一郎 × 中西泰人 × 井庭 崇)
第3章 政策言語=政策デザインのパターン・ランゲージをつくる(竹中平蔵 × 井庭 崇)
付録 政策言語(プロトタイプ・バージョン0.1)(井庭 崇 × 竹中平蔵)
第4章 パターン・ランゲージとネイチャー・オブ・オーダー(中埜 博 × 羽生田栄一 × 井庭 崇)
エピローグ
文献案内
断片化し、多様化する現代社会を、一挙に捉える!
▼社会システム理論によって、現代社会のリアリティはどのように捉えられるか?
その知見を踏まえ、私たちはどのような未来をつくることができるのか?
気鋭の社会学者・井庭崇が、宮台真司、熊坂賢次、公文俊平という当代きっての論客を迎え、徹底討論。
読者のリアリティに、新たな知をプラスする!
▼それぞれの対談の中で、各人が影響を受けたニクラス・ルーマン、タルコット・パーソンズや複雑系などを取り上げ、イラストも用いつつ、分かりやすく解説しているため、社会システム理論の入門書としても広く求められる好著。
プロローグ
序章 社会をシステムとして捉える - 社会システム理論入門(井庭 崇)
第1章 社会を変える知と方法(宮台真司 × 井庭 崇, 司会:西田亮介)
第2章 新しい時代のリアリティ(熊坂賢次 × 井庭 崇)
第3章 情報社会のゆくえ(公文俊平 × 井庭崇)
エピローグ
「パターン・ランゲージ」をビジネスに活かす!
第一部 企画のコツを共有する
「企画」を考えるすべての人のためのヒントとなる「32」のパターンを紹介。
本書は、パターン・ランゲージの研究者として世界的に活躍する慶応義塾大学総合政策学部(以下慶應SFC)准教授 井庭崇 氏と建築家・デザイナー 梶原文生氏による共著です。
本書では、日本初とも言われるデザインホテル「クラスカ」などを手がけるUDS株式会社を牽引してきた梶原文生氏が長年プロジェクトを通して培ってきた「企画のコツ」を、井庭崇氏の専門である「パターン・ランゲージ」の手法にもとづき32のパターンに分類し、具体的な事例とともにわかりやすく紹介したものです。
パターン・ランゲージとは、一言で言うと「良いデザインや良い実践の秘訣を共有するための方法」のことです。建築家クリストファー・アレグザンダーが考案したこの方法論は、建築分野だけでなく、ソフトウェア、デザイン、ビジネスプロジェクトの多くに適用されています。
企画の携わるすべての方にとって、現場で役立つ「画期的な企画」のコツを言語化してまとめています。何十から何百にのぼるプロジェクトの経験則を言語化し、その共通パターンをあぶり出して名前を付けるパターン・ランゲージの手法を用い、企画を立てる際に意識すべきポイントを32個のパターンにまとめ紹介しています。「企画のコツ」をまとめるのはパターン・ランゲージの世界でも初めての取り組みとなります。
また井庭崇氏による、パターン・ランゲージの解説と、井庭・梶原両氏による対談、梶原氏によるパターン適用のストーリについても紹介しています。
本書の対象は、企画・プロデュース、新規事業にたずさわる方々になります。企画・アイデアを練るとき、ビジネスを考えるとき、参照することで、きっと新たな知見とヒントが得られるでしょう。
対談:梶原文生×井庭崇
[解説]経験則を共有するパターン・ランゲージ
第二部 プロジェクト・デザイン・パターン
プロジェクト・デザイン・パターンの読み方
プロジェクト・デザイン・パターン一覧
CORE:企画者として持つべき哲学
LEARN:情報をつかむ…企画の種は情報にあり
CREATE:企画をつくる…企画づくりで押さえるべきポイント
LIVE:企画人として生きる…企画人としての「自分」と「相手」との付き合い方
第三部 プロジェクト紹介
おわりに
プレゼンテーションを、「伝達」だと思うことは、もうやめよう。
プロローグ はじまりの物語
愛らしいキャラクターと一緒に学ぶ創造的なプレゼン、34 のヒント!
魅了するプレゼンは当たり前。本書の着眼点は「創造を誘発するプレゼン」。プレゼンを聴いた人までそのプレゼンに触発されて、アイデアを次々と出してしまうような創造的なプレゼンのヒントを34パターンで解説する。各パターンは4頁で読み切り。まず冒頭頁で、そのパターンのポイントを視覚的に表現し、その後の3頁では具体例を交えながら、分かりやすく説明する。魅せ方のみならず、聴き手の生き方にまで影響を与える創造的なプレゼンのヒントを伝授する革新的な1冊。
2013年GOOD DESIGN AWARD グッドデザイン賞受賞
聴き手の発想や発見を誘発する「創造的プレゼンテーション」の秘訣を、パターン・ランゲージの形式でまとめた書籍。プレゼンテーションをデザインする「状況」で、どのような「問題」が生じやすく、それをどう「解決」すればよいのかを小さな単位でまとめ、一つ一つに名前をつけた。本書では34個の秘訣(「パターン」という)を紹介している。読者の今のやり方を出発点として、パターンを少しずつ取り入れることで、その人らしさを踏まえたデザインスキルの成長を支援する。また、パターンの名前を共通言語とした対話やコラボレーションが可能となる。なお、本書は自らが「創造的プレゼンテーション」となるようにデザインされている。
デザイナーのコメント
本書は「パターン・ランゲージ」という実践知の記述方法にもとづいて書かれています。この方法は、建築デザインの分野で考案され、ソフトウェア・デザインの分野で普及したものです。現在、私たち井庭研究室では、創造的な人間行為のデザインへの応用に取り組んでいます。今回その成果のひとつが、「デザイン」の観点から評価されたことを大変うれしく思います。本書は、内容や文章はもちろん、イラストやレイアウト等もすべて自分たちでこだわりをもってつくっています。書店に並ぶと、よくある「プレゼン本」と同じように見えてしまうかもしれませんが、実は「つくり」がまったく違う、ということを知っていただく機会になれば幸いです。 井庭研究室では今後、本受賞作の姉妹編である『ラーニング・パターン』や『コラボレーション・パターン』の書籍化に取り組むとともに、まったく新しい領域 - 防災、教育、組織変革、グローバルな生き方、日本的方法の再生等 - での創造的活動の支援にも取り組んでいきたいと思います。今後とも、ご支援、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
審査委員のコメント
コミュニケーションをとることが重視される現代社会においては、プレゼンテーションする機会も多くなる。最近では若い人のプレゼンテーション機会も多く、前世代を生きた人間にはうまく伝えられないこともある。本書籍はプレゼンテーションの本質的な理解を促すための秘訣(視点や考え方など)がわかりやすく整理され、ウィットの利いたイラストやコピーを用いて学生でも読みやすいように仕上げており編集デザインの観点から評価した。また相手の存在を理解しなくてはならないデザイン意識の指南書としても期待したい。
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プレゼンテーション・パターンの読み方
プレゼンテーション・パターンの全体像
CORE PATTERNS 創造的プレゼンテーションの本質
I 内容・表現に関するパターン
Column パターン・ランゲージという方法
II 魅せ方に関するパターン
Column プレゼンテーションを見るための「認識のメガネ」
III 振る舞いに関するパターン
Column 創造社会におけるプレゼンテーション
EXTREME PATTERNS 創造的プレゼンテーションの究極
エピローグ はじまりの物語、再び
プレゼンテーション・パターン一覧
[出版社書籍情報ページ / Amazon.co.jp / 楽天ブックス / honto.jp ]
自分や家族、身近な人が認知症と診断されたら、どうすればよいのでしょうか。
推薦のことば
不安に押しつぶされそうになったり、過去の介護の記憶がよみがえってくるかもしれません。
ですが、認知症は、生活を大きく変えるからこそ実現できる「新しい旅」のはじまりと捉えることができるのです。
本書では、認知症の方、そのご家族、まわりで支えている専門家が実践している「新しい旅」を
よりよく生きるための工夫を40の「ことば」にまとめて紹介しています。
これらの工夫のなかから、気に入ったもの、自分の状況に合うものを少しずつ生活に取り入れてみてください。
きっと、これから過ごす時間は何かを失っていく時間ではなく、これまで得られなかったものを新たにつくっていく
かけがえのない時間なのだ、と思えるようになるはずです。
はじめに
本書の特長
本書の読み方
「旅のことば」の使い方
「旅のことば」一覧
[本人]の旅のことば
[家族]の旅のことば
[みんな]の旅のことば
「旅のことば」を求めて
「旅のことば」の活かし方
それぞれの立場での活用のアイデア
あとがき
[出版社書籍情報ページ / Amazon.co.jp / 楽天ブックス / honto.jp ]
『複雑系』科学で行われていることの面白さを少しでも多くの人と共有したい。それが本書の目的である。
現在、書店に行けば『複雑系』に関する紹介書が多く出版されている。そのような状況の中で、あえて本書を書く必要があると感じたのには二つの理由がある。まず一つめの理由は、てごろなレベルの入門書がないということである。現在出版されているものは大きく分けて紹介書・啓蒙書か、あるいは専門書のどちらかの類である。しかも紹介書から専門書への距離が遠すぎ、ちょうど中間が抜け落ちている。もう一つの理由は、人工生命から経済学までの広い分野を取り扱う入門書が重要であるにもかかわらず、ふつうその実現が難しいということである。なぜなら、現在『複雑系』に取り組んでいる研究者は既に特化した研究領域をもっており、専門外の発言には慎重にならざるを得ないからである。
本書は『複雑系』の初心者から中級者までを対象とし、概念の紹介から具体的な手法までを取り上げる。また『複雑系』に関する包括的な標準入門書とするために、なるべく多くの幅広い議論を盛り込んだ。目的に応じた文献の紹介も行い、『複雑系』の勉強・研究のファースト・ポインタとして独学にも教材にも活用できるように心がけた。しかし、是非本書で終ることなく次のステップへと進んでほしい。本書を入門のきっかけとして、読者が専門書や実際の論文へと進んでくれるならば著者としてこれ以上の喜びはない。
本書は1997年春に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにおいて行った「複雑系勉強会」での講義に基づいている。計9回行ったこの自主的な勉強会には、コンピュータ・サイエンス、認知科学、経済、政治、建築、言語、アートなど幅広い興味をもった学生約50人が参加した。さらに、その後行ったいくつかの研究会や研究所、サークル等での講義をふまえて本書は書かれている。
本書は特に若い人たちに読んでもらいたいと思う。かつて科学史家のトーマス・クーンは、科学革命を起こす変革者について繰り返し次のようなことを述べている。「変革者はふつう非常に若いか、危機に陥っている分野に新しく登場した新人であって、古いパラダイムで決定される世界観やルールの中に他の人たちほど深く埋没されていない。」(『科学革命の構造』, トーマス・クーン, みすず書房, 1971)事実、日本において『複雑系』研究が立ち上がった十数年前から京都大学で行われてきたワークショップでも、20代や30代の若い研究者たちによって熱気ある議論が行われてきている。もちろんただ年齢が若ければいいというわけではなく、むしろ意欲的な姿勢やフレッシュな発想という意味で「若い」ことが求められているのである。
本書を通じて、読者は受け身で終ることなく積極的に最先端の議論に参加してほしいと思う。その意味でも、本書は完成したものというよりはむしろ入口といってよい。この未完成の地図を片手に、ともに歩んでいきたいものである。
さあ、知的冒険の旅へ出発しよう!