『フューチャリスト宣言』(梅田望夫, 茂木健一郎)

2007.06.01 Friday 22:55
井庭 崇


 しかし、それと同時に、僕は最近考えてしまう。そういった俯瞰的な思考で、本当に新しいものを生み出せるのだろうか、と。新しい世界の解説者として、また面白くてわかりやすい教育者として成功する姿は、イメージできる。でも、さっき紹介したグーグルやアップルのように、本当に新しいことを成し遂げられるのだろうか。そこが最近、とても気になる。きっと、もう1つ、何かもう1つ、足りないんだと思うのだ。
 やはり、どこで勝負するのか、という実践領域が必要だ。「T字型」とはうまく言ったものだ。ジェネラリストだけではだめで、一部に深い専門性を持たなければ、という。これは勉強の仕方として言われていることがあるが、活動領域の話として捉え直すと、ふたたび注目に値する話だ。そういうことを考えている今日この頃だからこそ、僕にとって、この本はなかなか刺激的だった。

 最後に、茂木さんが紹介しているエピソードを取り上げて終わりたいと思う。MITはこれまでに63人のノーベル賞学者を輩出しているらしいが、そこで教員がテニュア(終身教授資格)をとるには、次のような審査基準があるそうだ。

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