『ウェブ仮想社会「セカンドライフ」』(浅枝大志)
2007.07.26 Thursday 10:32
井庭 崇
もう1ヶ月ほど前になってしまったが、『ウェブ仮想社会「セカンドライフ」:ネットビジネスの新大陸』(浅枝大志, アスキー新書, 2007)image[]を読んだ。なかなかよかったので紹介したい。
image[ウェブ仮想社会]この本は、3次元ヴァーチャル世界「セカンドライフ」とは何かを知りたいという人に、僕がいつもおすすめしているものだ。この本には、セカンドライフとはどのようなもので、これまでにどのような企業が参入しているのかなどが、わかりやすくまとめられている。日産やインテル、シェラトンなど初期の参入企業がどのような工夫でその世界をつくりあげたのか、というエピソードはなかなか興味深い。セカンドライフに関する本というと、たいていはカラー画像が多用されていてゲーム攻略本のような雰囲気のものが多いが、この本は縦書きの文章のところどころに白黒の画像が入っているという、いわゆる新書版の本なので、落ち着いて読むことができる。
内容的な面で、僕がこの本を気にいっている理由は、著者が「2Dウェブから3Dウェブへ」という流れを踏まえて、セカンドライフを捉えているところにある。ウェブは今後3D (3次元)の世界に進化するのではないか、ということを考えていた僕としては、とても面白く読めた(僕がどういうことを考えているかは、また別の機会に書くことにしよう)。
これまでの電子掲示板やSNS、ブログのような文字・画像ベースの2Dと、セカンドライフのような3Dは、どのような違いがあるのだろうか。3Dでは、身体的な存在や振る舞いを含ませることができるというところが大きな特徴なのだ。「セカンドライフなどの3D空間の構築によって、新しいコミュニケーションがインターネットで可能になるのです。セカンドライフでは、リアルタイム性とアバター利用による個性の表現ができ、文字表現よりもニュアンスに富んだメッセージが可能であると同時に、強制されない会話が可能です。そうした機能を持ちながら、Web2.0的なユーザー発信のコンテンツを基礎に成立しているのが、セカンドライフなのです」(p.55)。
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