竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(5)

2010.12.06 Monday 14:04
井庭 崇



そのとき僕が考えたのは、総合政策学部でもこのようなワークショップでの実践を通じたインテンシブな教育ができないだろうか、ということだった。デザイン言語に倣って、「それは、総合政策学部なのだから『政策言語』 と呼ぶべきものだろう」と考えた。政策の“言語教育”というわけである。当時の学部長であった、故・小島朋之先生にお話したところ、「ほう、いいですね。どんどんやっちゃってください。」と、いつものにこやかな笑顔で背中を押していただいた(小島先生はいつもそうであった)。

ところが実際に案を詰めていくと、デザイン言語のときのようにはうまく実現できそうにないことがわかってきた。まず、政策を実際につくっているプロを講師として迎えることが難しい。これは、日本においては誰が政策デザインのプロなのかがよくわからないという問題でもある。そして、デザインの分野に比べて、その政策をつくることに関する根本原理・定石などがほとんど研究されていないという問題もあった。つまり、ルールやパターンとして、言語化がまったくされていないのである。こうして、カリキュラム改定にはとうてい盛り込むことができない、と判断せざるを得なかった。

それでも、その熱い思いは、現行カリキュラムにも一部実装されてはいる。創造実践科目群にある政策デザインワークショップ、外交政策ワークショップ、未来構想ワークショップなどである。これらのワークショップによって、「ワークショップの実践による学び」の部分は実現できたといえる。

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