「イノベーター精神とプロデューサー感覚を」(井庭 崇)
2007.08.01 Wednesday 01:50
井庭 崇
前の記事で、学生に「未開のフロンティア」=「新しい遊び場」を提供するために、セカンドライフの島を買ったという話をしたが、どうやら僕はずいぶん前からこういうことの重要性を考えていたようだ。
image[SFCreview6] 僕がまだ博士課程の学生だったころ、雑誌に「未開のフロンティア」の重要性を書いていたのを思い出した。「私たち団塊ジュニア前後の世代は、ある意味幸運だったと思っている。………コンピュータネットワークという白紙の世界が出現したからである」とか、「社会的選択肢となる次なるフロンティアを一つでも多く生み出していくということ」こそが大学が行うべきことだ、ということを、今から7年前にも考えていたようだ。
懐かしく読み返してみると、いまでも同じ気持ちでいることに驚かされる。せっかくの機会なので、ここで紹介することにしたい。この記事は2000年に『KEIO SFC REVIEW』という雑誌に書いたものだ。その号は、SFC創設10周年記念号で、「慶應義塾大学SFCこれまでの10年、これからの100年」という特集が組まれていた。以下のものは、その一環として書いたものだ。
「イノベーター精神とプロデューサー感覚を」(井庭 崇, KEIO SFC REVIEW No.6, 2000年4月1日, p.115)
試行錯誤を通してしか身につかないものがある。ここで取り上げたいイノベーター精神やプロデューサー感覚というものは、そういった類のものだ。人が何か新しいことをするとき、あるいは小さな物事を大きな規模に育てていくとき、その試行錯誤の過程において体得するものは計り知れない。ところが社会基盤が整備されグローバル化や大規模化が進むと、このような体験は困難になる。既にある枠組みの中で、後から入ってきた世代がフォロワーになってしまうのである。その結果、組織や社会の活力が失われてしまうということは、日本社会や企業、大学などが現在直面している共通の問題ではないだろうか。
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