「イノベーター精神とプロデューサー感覚を」(井庭 崇)

2007.08.01 Wednesday 01:50
井庭 崇



 このような状況を打破するための姿勢と方法を、私はイノベーター(クリエーター)とプロデューサーから学ぶことがことができると考えている。そこには、研究や創作、開発、ビジネスといった個別活動の背後にある共通のエッセンスが存在するように思うからである。

 イノベーションとは新しい何かを生み出すことだが、上記の個別活動はイノベーションを起こすということに他ならない。それは、既存の選択肢の中からどれかを選ぶという行為ではなく、新しい選択肢を創っていくという行為である。そのためには既存の選択肢に満足せず、その矛盾や限界を見抜き、一歩引いて新たな次元から物事を眺めてみる姿勢が重要である(複雑系科学では、このプロセスこそが生命が根本的にもつ生命性・創造性だといわれている)。

 もう一つ重要なのが、プロデューサー感覚である。問題解決に取り組む場合、単に解決のための思索に全エネルギーを注ぐのではなく、絶えず全体像をイメージして全体と部分との間を行き来する、そういったプロセスが重要である。その全工程の調整やバランスの感覚が、プロデューサー感覚ということである。

 私は、私たち団塊ジュニア前後の世代は、ある意味幸運だったと思っている。生まれた時には既に日本社会の枠組みが存在し、新しいことをするのが困難だったものの、コンピュータネットワークという白紙の世界が出現したからである。それは今までの常識が通用しないフロンティアであり、何ができるかは想像できない。何もないから小さな試行錯誤が可能であるし、小さなことでも注目や反応がある。そういったことが、ネットワークを駆使した創作やベンチャービジネスという形で体験されていったのである。

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