とにかく一度全体を書き上げるということ

2010.12.13 Monday 11:19
井庭 崇


論文にしろエッセイにしろ、多くの人にとって、「書く」というのは、なかなか大変な行為だろう。

僕も、「書く」ということには、いつも悩まされている。短めのちょっとした文章でも、七転八倒して書いているのがほとんどだ。自分は「書く」のは向かないのではないかという気もするが、職業がら書くことは不可欠だし、僕自身、「書きたい!」という気持ちがある。そんなわけで、「書く」ことに対する考え方や方法にとても興味をもっている。

今日、研究会の学生が教えてくれたのが、レヴィ=ストロースの話。とあるブログで取り上げている話で、そのソースは『海』(中央公論社、1978年11月号)らしい。

「大事なのはただひとつ、とにかくひとつの原稿を産み出すこと。もしかしたらそれは化物のようなものかもしれませんが、とにかく終わりまで書かれていることが大切なのです。」(レヴィ=ストロース)


ここで言われていることは、僕も多くの先輩・同僚から聞いたコツでもある。

とにかく一度全体を書き上げる。そして、それを修正していく。

だから、第一稿というのは、全体の70%のところまで書けている原稿ではなく、粗いところがあっても構わないので全体が書けている原稿のことなのだ(研究会論文などでは、こうなっていないことが多い。第一稿の提出というと、前半しか書けていない原稿が出てくる。これではだめだ)。

そして、一度書き上げたら、徹底的に修正する。全体がみえて、初めて細部を詰めることができるのだ(ちなみに、英語の“see”は、「見る」ことであり「わかる」ことである。全体を見ることで、自分が何を書いたのかがわかるのだ)。

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