地震の規模と頻度の法則から、大地震の発生可能性について考える(1)

2011.03.28 Monday 22:30
井庭 崇


図2:グーテンベルク・リヒター則の式のかたち[対数グラフ](a=1, b=1


複雑系科学やネットワーク科学の知識がある人ならば、どこかで見覚えのあるグラフだろう。そう、この地震の規模と頻度は、まさに「べき乗則」(power law)に従っているのである。地震の規模を表すマグニチュードは、地震のエネルギーの対数で計算されるので、グラフの横軸にエネルギーEをとれば、横軸も対数軸となる。このように、グーテンベルク・リヒター則は、べき乗則を示す現象の古典的な例として知られている。


さて、グーテンベルク・リヒター則を直感的に理解するために、具体的な数字を用いて説明をすることにしよう。

地震の規模と頻度の関係は、マグニチュードが 1 小さいと発生頻度が約10倍になる―――大雑把にいうと、こういうことだ。例えば、日本では、マグニチュード7クラスの地震が年に1回くらいの頻度で発生しているので、マグニチュード6クラスの地震は年に約10回、マグニチュード5クラスの地震は年に100回、マグニチュード4クラスの地震は年に1000回という計算になる。

逆に言えば、マグニチュードが1大きい地震は約10分の1の頻度で起きるということも意味している。例えば、マグニチュード8クラスの地震は年に約0.1回の頻度で発生する、つまり10年に1回くらい起きるという計算になる。さらに、マグニチュード9クラスの地震は年に約0.01回、つまり100年に1回という計算になる(もちろん、ここで言っているのは確率の話なので、100年に必ずぴったり1回しか起きないということではない。100年に2回来ることもあるし、来ないこともある。あくまでも確率的な傾向の話である点に注意)。

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