「パターンランゲージ 3.0:新しい対象×新しい使い方×新しい作り方」(1)

2012.02.22 Wednesday 23:24
井庭 崇


「パターンランゲージ 3.0: 新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」

井庭 崇(慶應義塾大学総合政策学部)

1. はじめに

パターンランゲージは,ある領域に潜む《デザインの知》を記述した言語である.ここでいう《デザインの知》とは,「問題発見+問題解決の知」のことである.つまり,どのような「状況」でどのような「問題」が生じ,それをどう「解決」すればよいのかという知見・発想を記述したものが,パターンランゲージということになる.

このようなデザイン=問題発見・問題解決の知を記述した「言語」を作ることを考案したのは,Christopher Alexanderという1人の建築家である.彼は,住人が自分の住む家のまちをデザインするプロセスに参加するにはどうしたらよいかを考え,その支援方法としてパターンランゲージを考案した.そして,同僚とともに253のパターンをまとめ,本として出版した [1].1970年代後半のことである.

それから十年後の80年代後半に,彼の考えと方法はソフトウェアデザインの領域に輸入され,90年代に本格的に普及していった(この輸入・展開の経緯と背後にある思想については,江渡浩一郎氏の『パターン,Wiki,XP ?時を超えた創造の原則?』[2]が詳しい).このような状況において,私は「人間行為」のパターンランゲージという,これまでにない新しい領域のパターンランゲージの記述・制作に携わってきた.その一連の取り組みを通じて,「パターンランゲージとは何か」という本質的な問いや,「パターンランゲージをどのように作ればよいのか」という実践的な問題に対して,自らの考えを洗練させる機会を得た.本稿では,その一端を紹介するとともに,今後の議論の枠組みとなるような捉え方を提示することにしたい.

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