ルール/制度/やり方の再設計のメディアとしてのパターン・ランゲージ

2012.06.09 Saturday 21:46
井庭 崇


僕が最近感じている、新しいパターン・ランゲージの意義は、(組織/コミュニティ/社会 における)「これまでの ルール/制度/やり方/こだわり を踏まえて再設計するための方法論」として使えるということ。


ある組織/コミュニティ/社会 において、既存のルール/制度/やり方/こだわり は、ふつうそれだけが継承されるが、その結果、後に(引き継いだ世代で)形骸化し、改変もできなくなることが多い。

世代を超えるときに形骸化しやすいのは、なぜそのような ルール/制度/やり方/こだわり になったのかという「設計意図」が、忘れ去られてしまうからである。

ルール/制度/やり方/こだわり は、本来コンティンジェントなものであり(別様でもあり得た)、そのなかのあるひとつの形(具体的なルール/制度/やり方/こだわり)になるのかは、なんらかの意思決定や経緯によって「選択」された結果である。

その選択に関わった人(意思決定をした人やその経緯を知っている人)が、その組織/コミュニティ/社会からいなくなってしまうと、ルール/制度/やり方/こだわり の設計意図がわからなくなる。こうやって、あとは、ただただそれらを継承するということになりがちになる。

そういう状況になると、その形骸化が問題だと考える人が出てきても、それを「捨てるか/残し続けるか」という二者択一になりがちで、実際には捨てることはできずに身動きがとれなくなる。そうして、形骸化した過去の ルール/制度/やり方/こだわり が残り続ける。

こういうことが、いま、日本でも広く起こっていることなのではないか。戦後、高度経済成長時代につくられてきたあらゆる ルール/制度/やり方/こだわり が形骸化し、おかしくなって、軋んでいるのに、それを変えるための適切な方法がない状態 のように思える。

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