ライティング・パターン「流れのチェック」(Water-Flow Check)

2012.06.16 Saturday 22:54
井庭 崇


論文等を書くときのコツを、ライティング・パターン(Writing Patterns)としてまとめていきたい。今回は、書いている論文をブラッシュアップするときのコツである。


「流れのチェック」(Water-Flow Check)

上から下へ水を流して、最後まで流れきるかを調べよう。

Context: いま書いている論文で、書くべきことはとりあえずすべて書けた。
 ▼
Problem: 書かれた文章の部分と部分のつなぎ方が不自然だったり飛んでいたりして、説得的でなかったり信頼に欠ける論文になってしまう。
 ▼
Solution: 読者と同じように、論文の内容を知らないという想定で、論文を上から下へ読んでいき、流れに強引さや飛びがないかをチェックする。これは執筆の後半戦で何度も行う。PCの画面上だけでなく、プリントアウトして紙で読むと効果的である。


これは基本中の基本だが、僕が赤入れする論文は、たいていこれができていない。たぶんやってないのだろう。せいぜい部分と部分の順番が正しいかの確認だけ。sectionの順番は気にするのに、文章の順番はあまり気にならないものらしい。

しかし、それでは足りない。このパターンで言いたいのは、水を流してどう流れるのかをみるくらいの精度でチェックするということ。順番の確認レベルではない。途中で、穴があったり、強引なカーブがあったりすると、水はちゃんと流れず、こぼれてしまう。

ポイントは「読者の気持ちで読む」ということへの本気度だろう。部分の順番の確認というのは、あくまでも著者の視点。そうではなく、ロールプレイ的に読者になりきり、上から下へ「言葉を拾い」ながら、それまでに出てきた情報だけで「理解」してみる。文章の上でただ目を動かすのではなく、読者としての「理解」までをシミュレートすることが大切。おそらく多くの人が、それをきちんとやっていないのではないのだと思う。

[9] >>
-
-


<< パターン・ランゲージ制作の拠点があるとしたら、どんなものだろうか?
「起業と経営」パターン:A Pattern Language for Entrepreneurship & Management >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.20R]