「認識のメガネ」としてのパターン・ランゲージ ? メガネをかける、メガネをつくる

2012.12.04 Tuesday 09:31
井庭 崇


パターン・ランゲージは、身のまわりの世界をある視点から見るための「認識のメガネ」だ。そのメガネをかけることで、これまで注目してこなかったことが浮かびあがって見えてくる。

例えば、コラボレーション・パターンを通して、自分たちのチームを眺めてみることで、自分たちが何をやっているのか、そして、何ができていないのかが見えてくる。しかも、よりよいチームにするために何をするとよいかのヒントも見えてくる。

しかも、パターン・ランゲージという「メガネ」は、誰かがつくったものを使うだけでなく、自分たちでつくることができる。自分たちで自分たちの新しい「認識のメガネ」をつくることができるのだ。今後、井庭研では、自分たちでパターン・ランゲージ(認識のメガネ)をつくるだけでなく、パターン・ランゲージをつくる人(認識のメガネ職人)を支援したいと思っている。


世界をある視点で見る「認識のメガネ」(パターン・ランゲージ)は、使っているうちに身体の一部になっていく。メガネを意識的に使う必要はなくなっていくのだ。

僕は博士研究では、思考とコミュニケーションの道具としてのモデリング・シミュレーションのシステム(PlatBox)をつくった。そのとき感じた限界は、そのシステムが、「そろばん」のように体化し必要でなくなる道具ではなかったことだった。そろばんは慣れてくれば、頭のなかではじくことができるようになり、最終的にモノ自体は必要なくなる。しかし、僕らのシステムはずっとそれを使い続ける必要があった。依存し続けなければならない道具だったのだ。しかも、世界の複雑さに対峙するための道具そのものの複雑さを減らすことができなかった点でも限界があった。その道具を使うことができるようになるまでの学習コストが高かったのだ。

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