「認識のメガネ」としてのパターン・ランゲージ ? メガネをかける、メガネをつくる

2012.12.04 Tuesday 09:31
井庭 崇



その後取り組んだニクラス・ルーマンの社会システム理論も、社会をある視点から捉える「認識のメガネ」としてかなり有効だった。しかし、システム理論の「認識のメガネ」は、そのものの複雑度が大きいため、そのメガネでものを見ることができるようになるのに時間がかかる。しかも、システム理論の「認識のメガネ」はなかなか自分でつくれるようにはならない(僕は自分で「創造システム理論」という独自のメガネをつくったけれども)。そういう意味で、「認識のメガネ」と「認識のメガネづくり」の普及・民主化という観点からは、システム理論も展開可能性については限界を感じざるを得なかった。井庭研で、半年で特定の領域のパターン・ランゲージをつくることはできるようになっても、半年で特定の領域のシステム理論をつくることはできていない(そもそもほとんど試みていない)。

そう考えると、パターン・ランゲージは、モデリング・シミュレーションやシステム理論よりもつくりやすいメディア/道具なのだと思う。しかも、その作成にも使用にもテクノロジーを用いない(ことばというプリミティブなメディアを使っている)ため、敷居も低い。そして、何より「認識のメガネ」としての機能と効果を実感しやすいメディアであると思う。僕にとっては、上述のような反省から出発してパターン・ランゲージにたどり着いたので、これらの特徴はとても可能性を感じている理由となっている。

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