応急処置的な社会から、自己革新的で創造的な社会へ

2013.04.16 Tuesday 16:53
井庭 崇



パターン・ランゲージでは、個々の創造領域において「質がよいとはどういうことか」、そして「それをどのようにつくることができるのか」ということが記述される。その実践的な力やセンスを、生成的(generative)な側面に着目して取り出し、共有・継承していく ??? それがパターン・ランゲージが目指すところである。

生成的な側面に着目するというのは、生み出された「結果」に見られる共通点を抽出するのではなく、良質な結果を生み出す「プロセス」における共通点を抽出するということを意味している。それゆえ、「パターン・ラゲージ」の「パターン」とは、結果(生み出されたもの)におけるパターンではなく、生成におけるパターンのことを指しているのである。パターン・ランゲージでは、生成のパターンを記述・共有することによって、生成の実践が支援されるのである。


このような生成的な側面に着目して「過去の成功」を読み解き、パターンという小さな単位にまとめ、それを踏まえて「つくる」「つくり直す」ことができるようになれば、ゼロから始めるのとは異なり、成功確率の面でもコストの面でも実行可能性への期待が持てるようになる。また、その時代その時代の方法が明示化され、共有・継承されていくことによって、社会・組織における「つくる」「つくり直す」能力の再生産が可能になる。


以上のような考えのもと、パターン・ランゲージというメディアによって、現在の「応急処置的な社会」を脱し、「自己革新的で創造的な社会」へと向かうことの後押しができるのではないか ??? そのような思いで、私(たち)は、日々、パターン・ランゲージの研究に取り組んでいる。

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