未来ヴィジョンをブレイクダウンして言語化する「フューチャー・ランゲージ」

2013.12.13 Friday 08:46
井庭 崇



パターン・ランゲージが「過去」から学ぶための方法だとすれば、フューチャー・ランゲージは「未来」から学ぶための方法である(『U理論』的な言い方をするならば)。

その意味で、フューチャー・ランゲージは、シナリオ・プランニングとよく似ている。しかし、現状から演繹する未来像ではなく、理想像を描き、そこから現在の方に引き寄せる点と、シナリオをつくるのではなく、ヴィジョンをブレイクダウンしたランゲージ(言語)をつくるという点が異なる。

未来ヴィジョンをパターン的な形式で記述するので、中埜博さん、羽生田栄一さん、本橋正成さんたちが言う「プロジェクト・ランゲージ」や、クリストファー・アレグザンダーの元同僚の建築家ゲイリー・ブラックが言う「Project Pattern Language」は、フューチャー・ランゲージの先駆的な仕事と捉えることができる。

彼らは、建物を建てるにあたり、関係者にヒアリングをして、そこで語られたものをパターン・ランゲージ形式でまとめる、そのプロジェクトのためのランゲージを作成する。そして、それをもとに、建築計画をつくっていく。これまで、このような「個々のプロジェクトのヴィジョンをパターン形式で書く『プロジェクト・ランゲージ』は、パターン・ランゲージの一緒である」と言われてきたが、実は、「フューチャー・ランゲージ(の一種)である」という方がしっくりくるのではないかと思う。


フューチャー・ランゲージは、多様なメンバーが集まって対話を行い、問題解決に向かう場であるフューチャー・センター(Future Center)などとも相性がよいだろう。そのような場でも、未来ヴィジョンをブレイクダウンして言語化し、それがどのような要素で構成されているのかを理解したり、アクションに近づけたりすることができるフューチャー・ランゲージは新しい可能性を拓くだろう。

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