アマルティア・センのケイパビリティ・アプローチとパターン・ランゲージ

2014.05.04 Sunday 15:45
井庭 崇



プラグマティズムとの関係の話は別の機会にするとして、そんな経緯でアマルティア・センのケイパビリティ(潜在能力)と、この本で再び再会したのだ。

実は2年前、ネパールにおける豊かさについての考え方をパターン形式でまとめた学生が井庭研にいたので、その研究にアドバイスをするときに、センのケイパビリティの考え方を紹介した。そのときにもパターン・ランゲージとの関係の可能性をアツく語ったが、それは開発経済学におけるパターン・ランゲージの役割という限定的な話としてだった。

今回のセンとの再会は、僕にとっての思考の飛躍につながった。開発経済的なパターンとケイパビリティ・アプローチの関係ではなく、パターン・ランゲージ3.0(人間行為のパターン・ランゲージ)とケイパビリティ・アプローチとの関係が見えてきたのだ。


アマルティア・センのケイパビリティ(潜在能力)アプローチ

アマルティア・センは、開発(発展)というものを、所得や富の増加させることではなく、人々が享受する自由を増大させることであると捉えた。富の蓄積は自由を拡大する手段としては重要ではあるが、それ?自体は目的ではなく、また唯一の手段でもないからである。

このような捉え方で貧困と開発の問題を考えるために、センは「ケイパビリティ」(潜在能力:capability)という考え方を導入した。ケイパビリティ(潜在能力)とは、ある人が価値を見出し選択できる「機能」の集合のことであり、その人に何ができるかという可能性を表している。

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