パースのプラグマティズムからみたパターン・ランゲージ

2014.05.05 Monday 00:03
井庭 崇



パースのプラグマティズムと探究の考え方にもとづいて、パターン・ランゲージについて考えてみたい。ここでは主に、人間行為のパターン・ランゲージ(パターン・ランゲージ3.0)に焦点を絞って考えることにしたい(ただし、建築やソフトウェアについても同様のことがいえるはずである)。

まず、パターン・ランゲージ(3.0)が目指すのは、行為の傾向性、すなわち習慣の変化である、ということができる。

パターン・ランゲージの個々のパターンがもたらすのは、その場での短期的な行為の変化ではなく、中長期的な習慣の変化である。言い換えるならば、そのパターンを読んでその場で「できる」ようになることに主眼が置かれているわけではないということである。

パターン・ランゲージのパターンは、ある一定の知覚と想像の結合のもとで繰り返し行為を行うことで、習慣の形成を促すのである。

だからこそ、パターンはContext - Problem - Solution - Consequenceという「条件 - 帰結の形式」で書かれるのである。そして、「個々の行為の誘発因としての知覚的事実」と「行為の目的がいかなる感覚的結果の内で実現されるか」が書き込まれる。

パターンは、信念と同様に「行動のための規則(a rule for action)であって、この規則を行動に適用すればさらに疑念が生じ、したがってまた思考が生じる」のである。

パターンのSolution(Action)を実行すると、その結果が生じるが、そのなかには副作用もあり、それは新たな疑念を生み、他のパターンのContextへと導かれる。パターン・ランゲージは、そのようなパターン同士のネットワークになっている。

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