Creative Reading:『形の発見』(内田義彦)

2014.12.27 Saturday 21:53
井庭 崇


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【内田】 …形から内容をつかむというやり方、様式のなかにひそむ方法の問題、様式をやっているうちに、その様式を生み出してきたものがわかるというか、そういう意味の内実の問題なんだな。つまり、内容とは、言いたいこと―――表現したいこと―――であると同時に、表現と別個にその以前に、内容のすべてがあらかじめ確定しうるとは、ぼくには考えられない。内容と形の双方をからめて、双方から進めて進めてゆかないとね。
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【内田】少なくともぼくら社会科学には内容の側を一方的に過重視する面があって、そこに伝統芸術のやり方から聴くべきを聴く問題が残っているように思うんだ。…
(p.88-89)


これは、僕が本を書いたり、パターン・ランゲージをつくるときに感じていることであり、また、作家(小説家)たちが語っていることと非常に近い。村上春樹も、自分の文体に通して書いてみることで初めて理解ができる、だから書くのだ、というようなことを語っている。このようなことを作家たちが語るのはよく目にするが、社会科学の記述も同様であると語っているの初めて読んだかもしれない。そう、僕もそう思うのだ(作成中のライティング・パターンのなかに、そういうパターンがある)。

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