SFCにおける学びの真髄

2008.04.09 Wednesday 14:37
井庭 崇


新年度・新学期が始まった。新たな気持ちで、スタートしたいと思う。

4月に入ってまず最初にやったことは、キャンパス・ライフ・ガイダンス(CLG)において行った「新入生へのメッセージ」という講演だ。午前と午後の2回行ったので、総合政策学部と環境情報学部の新入生約900人に話したことになる。「SFCを 1万倍 楽しむ方法」と題した講演では、次のようなことを語った。

まず、SFCがか掲げる「研究プロジェクト中心」とはどういうことか。ここでいう「研究」とは、いわゆる学術研究だけでなく、創作や社会実践をも含む、広い概念であるということ。そして、SFCでの学びの真髄が、授業の履修が中心なのではなく、「研究」を絶えず行うという「研究プロジェクト中心」であるということ。僕の言葉でいうと、「アウトプットから始まる学び」ということだ。既存の知識を自分にインプットすることによって学ぶのではなく、自分からアウトプットしていくことによって学ぶということである。そのためには、主体性が求められる。「SFCはみんなを大人扱いします。」――― 1年生から自分の歩く道を考えながら決めていく、つまりセルフ・プロデュースが求められているのである。

このことをさらに考えるために、講演では3つのキーワードを掲げた。「創造」、「先端」、「方法」の3つだ。「創造」(innovation)とは、何かをつくったり実践したりするということ。アウトプットを生み出すということだ。「先端」(frontier)とは、最先端の領域・問題に取り組むということ。すでに誰かが行っていることをなぞっても意味がない。「車輪の再発明」ではなく、まだ誰も成し遂げていないことに取り組むことが重要だということ。「方法」(method)とは、「どのように取り組むのか」という方法を意識し、分野を超えて「方法」を探究し、他分野の方法を移転したり、新しい方法を生み出したりすることが重要だということ。SFCは既存のディシプリン(学問分野)に依存しているわけではないので、学問の間を自由に行き来し、「方法」をディシプリンから解放し、新しい分野に適用するということこそ、SFCの強みであり、取り組むべき課題だと僕は考える。取り組みたい問題に合わせて「方法」を適切に選択するという力、そして新しい「方法」をつくりだす力を養ってほしい。

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