瞑想とオープンダイアローグ:ティク・ナット・ハン『ブッダ「愛」の瞑想』を読んで

2018.03.09 Friday 09:41
井庭 崇



オープンダイアローグでは、本人の《体験している世界》について理解を深めようと、本人の話を《じっくりと聴く》。そこに本人にとって大切な家族もいる。また、家族のそれぞれが《体験している世界》についても、それぞれの話を《じっくりと聴く》。こうして、傾聴し合う場がもたれる。そうすると、ハン師の言う「苦しみのかたまり」「心のしこり」がほぐれていく。その結果、最終的には、問題が解消してしまう(精神病の場合には症状が出なくなる)。

オープンダイアローグにおける対話においては、互いに瞑想的な状態になり、相手の存在に「気づき」(マインドフルネス)、心の奥底に沈み込んだ「苦しみのかたまり」「心のしこり」がほぐれていく。

恐れについて語っている別の箇所では、このような記述もある。

「わたしたちの意識の奥底にはあらゆる恐れの種が埋もれている」(p.94)

「けれども、わたしたちは恐れに浮かび上がってきてほしくありません。つらいからです。そこで抑圧します。苦しみを奥底に押しやり、ネガティブなエネルギーが「居間」にす姿を現すことが決してないように、ほかのエネルギーを招き入れて部屋をいっぱいにしようとします。テレビをつけあtり、小説を読んだり、電話をかけたりして。これでは自滅作戦を遂行しているようなものです。自分の中にあるネガティブな種を見て見ぬ振りし、拒否しつづけるなら、やがて悪循環が始まります。」(p.94)

「むりやり抑えつけるやり方を取っているかぎり、恐れや怒り、絶望、苦しみといった『心の形成物(思い)』はくり返しわいてきます。意識の中がちゃんと循環していないと、鬱やストレスなど、心の病的な症状が現れてきます。」(p.95)


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