慶應義塾大学SFC「創造社会論」2020シラバス
2020.07.28 Tuesday 10:18
井庭 崇
第11・12回(11/6):「いとおしさのデザイン」
鞍田崇 × 渡邉康太郎 × 井庭崇(× 鎌田安里紗 × 梅若美和? × 鈴木崚平)
鞍田崇さんと渡邉康太郎さんをゲストにお招きし、「いとおしさのデザイン」ということについて語り合います。
鞍田崇さんは、無名の職人が手がけた生活道具に注目する柳宗悦の「民藝」の現代的意義を問うことを呼びかけています。鞍田さんは、民藝に「用の美」だけでなく、「いとおしさ」(インティマシー)という価値を見出しています。『民藝のインティマシー:「いとおしさ」をデザインする』や〈民藝〉のレッスン:つたなさの技法』などの著作において、民藝における「いとおしさ」の感性・感受性こそが、これからの「人間らしい」社会と暮らしのあり方を考えるための重要な手がかりとなると語っています。単に「自然に帰れ」という自然回帰ではなく、生きること・存在することへのまなざしのなかで「いとおしさ」を感じることができる人間性を取り戻す、そのような未来に向けて、現代の私たちは民藝から学び、捉え直すぶことができるというわけです。
渡邉康太郎さん(SFC卒業生)は、Takramのパートナー/ディレクターを務めるコンテクストデザイナーであり、J-WAVEのラジオ番組『TAKRAM RADIO』でナビゲータなどもされています。「一輪の花に言葉を添えて贈る」というコンセプトのISSEY MIYAKEの「FLORIOGRAPHY」、使い続けていくうちに中からメッセージが現れるラリトプールのギフト商品「Message Soap, in time」、一週間に一冊の本だけが置かれる書店「森岡書店」などを手がけてきました。著書の『コンテクストデザイン』は一般流通させず、トークイベントと連動して販売するなど、本の届け方にも工夫があります。「矛盾をはらむもの」「分類不可能なもの」に着目し、「幸せな誤読」を生むことに魅力を感じながら、触れた人にそれぞれの「ものがたり」が生まれるような「ものづくり」を、「コンテクストデザイン」として提唱・実践しています。
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