慶應義塾大学SFC「創造社会論」2020シラバス
2020.07.28 Tuesday 10:18
井庭 崇
若野達也さんは、奈良を拠点として一般社団法人SPSラボ若年認知症サポートセンター「きずなや」で、若年性認知症の人たちの相談や就労支援などのサポート、新しい仕事づくりに取り組んでいます。若年性認知症は40才前後からなり得るもので、 10年くらい前のデータで約4万人いると言われています。「高齢者」よりも若く、まだ元気に動ける年齢です。若野さんは、若年性認知症の方々が仕事を失い、居場所を失うという現状に対して、一緒に「地域の困りごとの解決」に貢献するという道を開きました。閉鎖されたままになっていた梅林の草刈りから始め、梅の木を始めとして苗を植えるという福祉農業連携プロジェクトなどを行っています。
小島希世子さん(SFC卒業生)は、藤沢で自ら農業をするとともに、体験農園・貸し農園「コトモファーム」を運営しています。そこまでであれば、地域に開かれた農家さんがやっていることかもしれませんが、小島さんの「農スクール」はその範囲を大きく超えた視野での取り組みです。小島さんの「農スクール」では、ホームレスやひきこもりの人たちが農作業を経て、自立していくということが起きています。人間関係や社会的なしがらみで精神的に疲れてしまった人たちが、土に触り、ゆるやかな協働作業、植物の生命力や成長の喜びを感じていくなかで、変わっていくのでしょう。これらのことは、『ホームレス農園:命をつなぐ「農」を作る! 若き女性起業家の挑戦』や『農で輝く!:ホームレスや引きこもりが人生を取り戻す奇跡の農園』の著作でも紹介されています。「都市主義の限界」を自然とのかかわりのなかで取り戻していく、という可能性を感じます。
[7] << [9] >>
-
-
<< Seminar Syllabus: Iba Lab B, 2020 Fall
慶應義塾大学SFC「ワークショップデザイン」2020シラバス >>
[0] [top]