自ら「つくる」ことで経済から離れる「卒 資本主義」への創造社会ヴィジョン

2020.12.04 Friday 14:08
井庭 崇



さきほど見たように、衣・食・住とエネルギーをお金を払って購入して調達することで私たちの暮らし・生きることが成り立っている。この現状に対して、これからの創造社会では、衣・食・住やエネルギーも、自分で「つくる」(ことができる)ことにより、経済システム経由で衣・食・住とエネルギーを調達する必要性を減らすことができる

たとえば、トマトを食べるために、それを「買う」からお金がかかるのであり、自分で「育てる」(つくる)のであればそれだけのお金はかからない(もちろん種や苗、肥料は入手する必要があるが)。経済システムを経由してトマトを調達するのではなく、自分で育てて収穫することで調達することができる、この視点の転換が、ここで言いたいことの要である。洋服を自分でつくれば、買って調達する必要はなくなる。つくればつくるほど、経済的に購入して調達する必要性が下がり、それゆえ、ライフコストは低くなる。お金を多く必要としない暮らしへとシフトできる。四角大輔さんは、ニュージーランドで自給自足生活を送る実験を自ら実践中で、彼のような生き方をすると、「ミニマムライフコスト」はかなり低い。完全時給自足は大変で難しいかもしれないが、ここで言いたいことの本質は、自分で「つくる」ということは、「経済」から自由になるということなのだということだ。

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