2021年春学期 井庭研「ナチュラルにクリエイティブに生きる未来に向けて」シラバス
2021.01.27 Wednesday 17:07
井庭 崇
(9) 商いの実践探究コミュニティの研究
実践者がそれぞれ探究し、集まり交流する「実践探究コミュニティ」と呼び得るコミュニティがあります。小阪裕司さんが主宰するワクワク系マーケティング実践会では、1500店・社の会員が、日々の商いの実践について報告し、交流し、学び合っています。そのような実践探究コミュニティはどのように成り立ち、どのような学びが展開されているのでしょうか? また、なぜ、成立が難しい大人数の「学びのコミュニティ」が維持され、拡大し得ているのでしょうか? 本プロジェクトではその秘密に迫り、そのメカニズムを明らかにしていきます。本プロジェクトの成果は、単に現存するコミュニティの研究にとどまらず、これから立ち上がるコミュニティに対しても役に立つ知見を得ることを目指します。本研究は、小阪裕司さんのオラクルひと・しくみ研究所との共同研究です。
(10) 卒資本主義と創造的民主主義へのシステミック・チェンジの構想
地球温暖化に象徴されるような地球環境破壊は、人類の拡大的な活動の結果であり、それは資本主義による自然の搾取の結果だと言われています。そのような現状のなか、私たち人類は、資本主義や経済への依存の状態からいかにして離れることができるでしょうか? そのひとつの可能性が、「創造社会」(creative society)にあると思われます。一人ひとりが日常的な創造性を駆使し、いろいろな物や仕組みをつくることができるようになると、経済的な調達に頼らなくてよくなります。また、社会の共創システムが大規模に立ち上がることになれば、これまでとは異なる社会のあり方を切り拓くことができるでしょう。本プロジェクトでは、そのような資本主義を卒業する「卒資本主義」の可能性を探っていきます。また、民主的な社会の実現のために、一部の人に集合的決定を委ねるかたちとは異なる、新しい民主主義の可能性についても探究します。かつてアメリカのプラグマティズム哲学者ジョン・デューイが「創造的民主主義」(creative democracy)と呼び、日本の政治学者 宇野重規が「プラグマティズム型の民主主義」と呼んだ、民主主義の新しいあり方を、創造社会やパターン・ランゲージに絡めて構想していきます。
[7] << [9] >>
-
-
<< 2021年春学期 井庭研 各プロジェクトにまつわる文献リスト
中動態で表されるべき「創造」(深い創造) >>
[0] [top]