2021夏プロ「新しい世界観の概念装置を組み立てる:ホワイトヘッド哲学を学び、アレグザンダー思想の理解を深める」

2021.06.24 Thursday 22:31
井庭 崇



例えば、“全体性」と「センター」の理論”の章で、「全体性」の考え方の多くの文献のなかで「おそらく最も際立った議論」であるとして、ホワイトヘッドの『過程と実在』を紹介している。さらに、『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』の重要な概念である「センター」も、ホワイトヘッドの哲学に通じるという。

「すべての空間が「センター」を張り巡らしたようなシステムであるという考え方を最初に提唱したのは、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドであり、・・・ホワイトヘッドは、彼が「有機体」と呼んでいる連結した存在で構成されるシステムを提案しました。彼の考えでは、実在するすべてのものは空間的に存在する入れ子状で重なり合った「有機体」のシステムとして理解されるものだということです。-----私が思うに、このホワイトヘッドの有機体は、私がこの本で「センター」として説明している実態とまさしく同様のものではないかと思うのです。」(アレグザンダー『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』)

また、『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』では、「生命」が重要な概念として論じられているが、この「生命」というのはいわゆる「生物」のことではなく、無生物にも見られる「いきいき」とした質のことである。この「生命」の考え方もホワイトヘッドに通じているという。

「この概念の中では、「生命」とは何がしかの形ですべての事象、建築物に存在する、日々の実用的な生活の中にでもあるものなのです。・・・この考え方の本質は、古典的です。新しいことは、既存の科学的な思考を用いた構造的な形式という概念で説明できるということと、理解できるという点だけです。・・・同じような視点は、歴史を紐解くと、仏教の考え方やアメリカンインディアンの世界観の中にも表れています。仏教の世界観では、すべてのものの中には「生命」があると示されており、無数の経典によってそのことが記されています。・・・同じような考え方はアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの哲学や書物の中でも述べられています。・・・ホワイトヘッド氏の考え方では、「生命」の無いものは無いのです。「生命」の可能性は事物に本来備わっているのです。」(アレグザンダー『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』)


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