量子力学における「コト」的世界観と、オートポイエーシス

2008.07.08 Tuesday 23:55
井庭 崇



「空間的関係を一切導入しないで、システムを規定している点で、オートポイエーシス論は位相学的だと言われるのであり、またシステムが空間に場所を占めるようにするために、繰り返しオートポイエーシスの実現について語られなければならなくなっている。『実現』という言葉は、空間内の現実の存在になる、という程度の意味である。」(p.269)

「オートポイエーシス・システムは、みずからの産出する構成素をつうじて空間化するのであり、構成素はシステムを空間に具体的単位体として構成するのである。空間内に存在する現実の構成素と、それらの間に成立する諸関係が、システムの『構造』である。」(p.269)

先ほどの、ループ量子重力理論における話と同じことを言っているといえないだろうか。このほかにも、社会システム理論における「コンティンジェンシー」の概念も、量子力学の不確定性の話に通ずるものがあるように思う。オートポイエーシスの概念は、しばしば言葉の上の戯言のように思われることがあるが、現代物理学の最先端の量子力学と同じことを言っているとなると、少しはその可能性についての評価も変わってくるのではないだろうか。そのようなことを考えるために、僕はいま量子力学を学んでいる。

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