2008.07.24 Thursday 09:21
井庭 崇
「ゾーハーとマーシャルが『量子的社会』という観念を練り上げている。絶対時間、絶対空間という固定したカテゴリー、相互作用する「ビリヤードの球」からなる剛体の不可入性、そして完全に決定論的な運動法則に基づく古典物理学に見られる、かつての確実性の世界が崩壊したとゾーハーらは述べる。それに代わるのが、「量子物理学の奇妙な世界、つまり空間、時間、物質の境界をものともしない奇怪な法則からなる不確定な世界」である(Zohar and Marshall 1994: 33)。さらにはゾーハーらは、波動/粒子の作用と社会生活の創発的性格との類似性を見いだしている。「量子的実在は……潜在的には、粒子のようでもあり波動のようでもある。粒子は単一体であり、空間的、時間的に定位され計測可能なもので、ある時点でどこかに存在する。波動は『非局所的』で、空間と時間を超えて拡がり、その瞬時的な作用は至るところに及ぶ。波動は同時にあらゆる方向に拡がり、他の波動と重合し一体となり、新たな実在(創発的な全体)を形成する(Zohar and Marshall 1994: 326)。本書では、「創発的な全体」を生み出しているように見える様なグローバルな「波動」をいくらか類推的に分析することを試みる。とはいえ他方では、「空間的、時間的に定位され計測可能」である無数の単体粒子、つまり人間と社会集団が確固として存在している。」(p.215)
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