『ネットワーク科学への招待』が出版されました!

2008.07.26 Saturday 23:50
井庭 崇


 ネットワーク科学とインターネット
 SNSという複雑ネットワーク
 P2Pネットワークと複雑ネットワーク
 ネットワークの可視化技術:大規模情報からの意味情報の抽出
 相関構造の有意成分とネットワーク推定

VI ネットワーク科学のゆくすえ
 ネットワーク科学の方法論と道具論
 ささやかな幻滅と大きな期待


この中で、僕が書いたのは、「ネットワーク科学の方法論と道具論」(井庭 崇)である。ここでまるごと引用するわけにはいかないので、その論文のイントロ部分のみ、紹介することにしたい。

「ネットワーク科学の方法論と道具論」(井庭 崇)

1. はじめに:概念・方法・道具

いまから十年ほど前、ネットワークに関する新しい概念がふたつ提唱された。「スモールワールド・ネットワーク」と「スケールフリー・ネットワーク」の概念である。これらの概念は、その後の研究を方向付け、ネットワーク科学の分野を切り拓くきっかけとなった。「概念」とは物事の捉え方であり、私たちに従来とは異なる現実を見せてくれる。かつて社会学者のタルコット・パーソンズが「概念とはサーチライトである」と表現したとおり、ネットワークの新しい概念も、その光によって、これまで見ることのできなかった現実を捉えることを可能にしてくれた。

このように、科学の営みを振り返るとき、概念の革新に注目が集まることが多いが、実は「方法」や「道具」の知識についても革新がおきているということを忘れてはならない。科学的研究では、「概念」と「方法」と「道具」を駆使して研究が行われている(図1)。そして、それらがお互いに影響しあいながら、それぞれの革新を誘発している。本稿では、このような観点から、ネットワーク科学について再考したい。これにより、いわばネットワーク科学の「科学哲学」を構想し、また、次なる十年を展望することを目指したい。

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